miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

仁 立

全日本柔道で、二十歳の若武者 斎藤立が優勝した。立は、五輪二連覇し、先年惜しまれて早逝した柔道家 斎藤仁の次男である。長い全日本の歴史でも親子二代の優勝は初めてという。父仁は、五輪を取って後、悲願の全日本を制した。息子立も全日本をもって頂点…

三十五腰と一文字

国宝の太刀山鳥毛が岡山県瀬戸内市の所蔵に収まった。瀬戸内市は山鳥毛の属する刀工流派 福岡一文字の里である。五億円という購入資金は、寄付金で集められ、購入が決まった際は、800年振りの里帰りに、地元も寄付者も大いに湧いたという。 この刀、一時は新…

永遠のファイティングポーズ

あしたのジョーこと矢吹丈は、ボクシングの対戦で主要なライバルのすべてに敗れている。力士徹、カーロス・リベラそして最後の試合、ホセ・メンドーサ。 それでもマンガも主人公も人気絶大な理由は、試合の都度、ジョーが完全燃焼していること、負けても“ あ…

一期一石

庭師の親方が「石組みも難しいが、一石はもっと難しい」と言っているのを聞いたことがある。わが家の小さな庭工事の時だからもう20年も前の事である。この言葉の意味が今ではボンヤリながら判る気がする。 石組みは、観るものが勝手に意味を込めて、解釈して…

“真っ白”の、真っ更な意味

アニメ「あしたのジョー」のラストの解釈は読者に委ねられている、とされる。(わざわざ断るまでもなく、散文、韻文、文芸、絵画、音楽、等々、感性に訴える芸道の解釈は、受け手に委ねられているのだが・・) 「真っ白になった」ジョーは死んでしまったのか。…

癌のペア書籍Ⅱキャット・アーニー『ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物』 主に臨床面からの目の覚めるような解説で、「がん」に対する認識が一変する。アシーナ・アクティピス『がんは裏切る細胞である―進化生物学から治療戦略へ』 病理学的な…

癌のペア書籍

最近、好対をなす“がん”に関する書籍に巡り合った。 一対は、次の二書でいずれも岩波新書である。 ・坂井律子著「〈いのち〉とがん 患者になって考えたこと」 ・阪本良弘著「がんと外科医」 著者同志が患者と主治医、執刀医の関係にあって、病状の捉え方、治…

未来形の言語

突然だが、中国語の用法や語法は、情報機器でよく使われているアイコンと実に似ているように思う。中国史の本を読んでいて、フト気付いた。中国語は簡勁にして象徴性が極めて高い。未来の言語は中国語的に進化して行くかもしれない。 そう思ったら中国語に時…

(  ) のカッコイイ性格

現象学の祖エドモント・フッサールは、カッコ「( )」を使って思考停止せよと説いた。いわば、カッコを閑却、後回し回しのツールとした。 対して数学の計算上は、カッコ「( )」の中を一番最初に計算する、カッコ内は最優先のトップバッターである。 散文のカ…

憑依するメガホン

スタンリー・キューブリックの監督作品はたった13作という。寡作である。因みに世界の黒澤明の監督作品は30作でに及ぶ。キューブリックの13作の多くで、監督自身が出演しているかと思われるような濃いキャラの人物が登場する。 「機械じかけのオレンジ」の異…

もしかして・・・

源氏物語に登場する六条御息所の生霊を描いた上村松園の「焔」(ほのお)は、同氏の代表作の一つとして東京国立博物館に所蔵されている。絵には、蜘蛛の巣の柄の着物をまとった六条御息所が、長い黒髪を口に咥え、恨めしそうに振り向く姿が描かれている。背…

自覚の哲学、数学の自覚

京都大学の望月新一教授は、難攻不落の「ABC予想」を自身が開発した「宇宙際タイヒミュラー理論」によって証明した。「宇宙際タイヒミュラー理論」のエッセンスは「同じものでもあり異なるものでもある」という。 けれども数学者の間では、「宇宙際タイヒミ…

決断の政治、同調の政治

フィンランドのNATO加盟が取り沙汰され、同国首相が若くて綺麗な女性で驚いたが、パン屋で働いた経験のある普通の人と知って更にビックリだった。 一口に女性政治家と言っても政治手腕は各人夫々だろうが、女性が国家元首、首長になれば、少なくとも戦争は少…

遠い視線、遠い音

和楽器を特集した番組で、雅楽演奏者の東儀秀樹が「笙」の音色を、天から射す光に譬えていた。 楽器を天然物、自然現象にたとえる事は実に的確と思う。楽器誕生の原初は、自然の模倣に思われる。ギターは風の音、ハーモニカは草笛、太鼓は地の響き。 天然物…

出版処

岩波書店や筑摩書房ほど知られていないが、独文学の郁文堂も創業者は長野の出身である。和独に独和辞典、「ファウスト集注」「対訳ゲーテ詩集」など、閑長もさんざお世話になった。しかし、これだけ個性ある、硬派の出版人を輩出した県はすくないのではない…

セーム・ハンドの確率Ⅱ

やはり昨日の計算は違っていたと思う。 まず、対面、二人だけの勝負という前提条件が必要となる。 自分がワンペアとなる確率から、相手がワンペアとなる確率だけ差し引きする必要がある。 加齢とともに数学脳も衰える。 詳細は再計算中です・・・。

セーム・ハンドの確率

映画でポーカーの勝負をしているシーンを観て、双方同じ手、ワンペアならワンペア同志になる確率を想像した。 ポーカーの役全てを計算し尽くす根気がないので、ワンペアの場合だけ計算すると、自信はないのだが、およそ6%弱、細かく計算すると5.769%程と思う…

ポエムとピクチャー

詩人と画家の生涯に惹かれることが多い。 両方とも破滅系の生涯を送ることか多いからだと思う。 芸術活動には、裕福と円満が差し障るということの証左に思える。 因果律で考えると、芸術的所産が破滅を招来しているのかもしれない。 その両方なのかもしれな…

旧約の女性たち

ダナエ、ユデツト、レクリティウス、パテシバ、エウロペ、思いつくまま書き出した西洋絵画、聖書と神話の主人公、女性版である。彼女らの役柄と登場シーンが判ると、絵の意味がスッキリ通る。 同じ主題の作品を画家ごとに見比べるのも興味深い。背景、時代、…

虚空の浮雲

フランツ・カフカは、大きなフィクションを書いて現実を写し出してみせた。 「断食芸人」は端的な例である。 現代絵画のいくつかは、現実ならざるものを眼前にみせ、ノン・フィクションの世界を脳裏に描かせる。 グラント・ウッド「アメリカン・ゴシック 」…

タンクの如く

昨夜の村田-ゴロフキン戦は、前座が長く開始が宵の入りになって閉口した。試合は名勝負といいうる内容だった。 前座試合とメインイベントを見比べて、一流ボクサーと並のボクサーの違いは、打たれ強さの差と思った。パンチ力が弱くてはボクサーになれないが…

創文社のしごと

昨日も書いたけれど、事業休止した創文社の大事業に『ハイデッガー全集』の出版がある。 つくづく思うのだけれども、東大出版界が事業を引き継ぐとはいえ、 タイミングを逸した出版にならないものかと、その事が案じられる。

文を創る

詩集に使う活字について投稿しようとし、表紙の活字を、出版の都度一冊づつ誂える出版社のことを思い出し、調べて見たら、二年前の2020年に出版事業を休止していた。創文社という思想系書籍の出版社である。 下記はウィキペディアの記載である。 創文社(そ…

似て非なる、非なれど通じる・・

日本古代史の直木孝二郎は、古代の天智、天武、持統の三天皇を、戦国武将の信長、秀吉、家康に準えている。 個人の資質、境遇、歴史上の役割ばかりか、三者の関係が対比的だというのである。透徹した洞察に驚嘆するばかりか、斯界の泰斗がよくぞ言明したもの…

辞書を引く姿

高校時代、わざわざ職員室から図書館に浩瀚な英英辞典を引きに来る教諭がいて、小走りに辞書に駆け寄り、ページを捲り紙面に見入っていた。その教諭のそんな姿を、一度ならず何度も見かけた。 「背中で教える」「後ろ姿で諭す」という言葉があるが、たった一…

ハイブリットの交差点

三十年来のハイデガーファンで、関連書籍の量は書棚三区画、段ボール四箱に及ぶ。二十世紀最大の哲学者という称号は近頃、あまり聞かれなくなった気がするが、マルチン・ハイデガーはドイツの哲学者で、現象学の泰斗である。現世の軋轢、煩悶の原因や背景を…

本読みの宿命

断捨離、終末対応で本の処分を進めている。売却、廃棄前に一応パラパラと目を通す。元々本好きだから、自然とページに目が留まり、読み始めてしまう。 それだけならまだいい。目が留まった本の関連書籍や引用資料を読みたくなって図書館や古書を漁ることにな…

「誰も知らない父」

「歴史の母は必然性で、父は誰も知らない」 以前も投稿した一句である。小林秀雄がいたく気に入っていて、著作の中で二、三度採り上げている。元はポールヴァレリーの言葉、と記憶する。 父次第で歴史は大きく揺れ動く。一般に秩序が保たれた世界では、ルー…

自選によるサラ川拾遺 そのⅤ

タイトル通りのボツ作の寄せ集めである。今回はその時間版である。 以前は時間単位だったスケジュールが、近頃は週単位、月単位になっている。 余暇の「暇」が 「生」に代わって 余る時間 停年や 時間余って 人生不足 閑なのだが、なぜか切迫感があるのであ…

ウォッカ 定窯 唐津 オールドパー

開高健は、古今東西の銘酒を飲み味わって、行き着いた酒としてウォッカを挙げている。木炭で濾して濾し尽くしてほとんどアルコールに近いこの火酒を、飲み飽きず、宿酔いもしない酒として賛美している。 焼物研究家の中島誠之助は、自身が欲しい焼き物として…