miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

映画

利己的な繁殖因子

サタ・シネでジャック・ニコルソンの「ウルフ」をみた。 生命力に満ち、敏捷で強靭な体をもった狼がなぜ、蛇行運転で屁っぽこのニコルソン車に轢かれたのか、と疑問に思った。 が、ラスト近く、パートナーが妊娠していることが知らされ、狼メはウィルをわざ…

レンブラントかラ・トゥールか、マネか

『ゴッドファーザー PART II』の上院公聴会のシーンの最後で、組織の暴露を企て、言を翻したフランクと、シシリアからやってきたフランクの兄が、退出時にすれ違うシーンは傑作と思う。よくぞ撮った、コッポラ監督。 兄弟に、マイケル、そしてケイ、トムの心…

喪失の姿

映画「大いなる勇者」は、ロバート・レッドフォード扮する西部の山男が、次々と失っていく事を描いて、実に見事である。喪失の代りに替わりに得たものというと、孤独とせいぜい自負だろうか。誇りとプライドと言うほど、この映画は尖がっていない。 主演がロ…

ヒーローは一人だけ

映画「ロッキー」の続編『クリード 炎の宿敵』は、ロッキーのライバルにして親友 アポロの命を、試合で奪ったロシア人ボクサー、イワン・ドラゴが、息子ヴィクターを最強の戦士に鍛え上げ、ロッキーへの復讐を図るという映画である。 ドラゴは、ロッキーとの…

口は目程に

かねて日本人の映画はなぜか作り物っぽくて、リアリティに欠けると思っていたけれど、BSのヒューマニエンスの「目」をみて、謎解きのヒントを貰った気がした。 番組の知見では、欧米人は口元で感情を伝えるのに対し、日本人は目で気持ちを伝えているとされる…

名作のⅡ Ⅱの名作

映画館で「トップガン・マーベリック」を観て、本が、つまり脚本が良いとおもった。状況とキャストのキャラ、相関関係が実に上手くセットされている。基本設計がハリウッド的というよりむしろ東洋的である。絶対的な主人公でなく、連峰式のヒーロー設定で、…

時代の風

なにげなく映画「小さな恋のメロディー」を観ていて、後半の教師たちとのドタバタ劇の辺で、1970年代の学生運動とベトナム反戦運動を想起した。当映画は1971年の制作である。70年代は反体制や弱者による抵抗が、ドラマにもテーマにもなり得た時代である。そ…

ウィナーの光 ルーザーの味

I`m very good loser. (しぶとく生きてんの) 映画「追憶」のラスト。バーブラ・ストライサンドの一言。 I am John wayne. John wayne never lose. (俺はジョン・ウェイン。無敗のおとこだ。) ハリウッドスター ジョン・ウェインのセリフ。 誰がどう見たっ…

憑依するメガホン

スタンリー・キューブリックの監督作品はたった13作という。寡作である。因みに世界の黒澤明の監督作品は30作でに及ぶ。キューブリックの13作の多くで、監督自身が出演しているかと思われるような濃いキャラの人物が登場する。 「機械じかけのオレンジ」の異…

この役、この役者ありて・・

昨日に引き続き「荒野の七人」である。 ジェームズ・コバーン演ずるブリットは原作「七人の侍」の久蔵に最も近い役柄という。メイクキングビデオでは、この役に「抜擢」されて喜ぶ映像が収録されているが、コバーンの存在は本作において、当り役以上に嵌り役…

You are mine.

映画「トップガン」のラスト、アイスマンのセリフについては、既に書いたと思って検索したけれども見当たらなかった。昨夜、久々再放映され、公開から35年を閲してほぼ会心の翻訳だったので、是非書き止めたくなった。 ミグ戦闘機四機を撃墜して、僚機を助け…

濃い髪と血

「ボヴァリー夫人」と「アンナ・カレー二ナ」は、どちらも女主人公の悲劇的な死で幕を閉じる。どちらがより名作であるかは、嗜好の問題になると思う。文章・文体フレークは前者を、プロット好みは後者を贔屓にするように思う。 今日は、「アンナ・カレー二ナ…

肉声で観たい・・

外国映画のナレーションは、名画ならば字幕でも吹き替えでもOK、名画以外のB級ものならば、吹き替えがお勧め、と長らく思ってきた。最近、BSでジーン・ハックマンの「地獄の七人」を観て、この映画は字幕以外考えられないと思った。俳優の“ 地声 ”で観…

ダブルオーの血脈

次作の007ジャームズ・ボンドは女性になるだろう。「ノータイム・ツゥ・ダイ」でお目見えした娘さんへの " 古名跡 " 引き渡しまでのショートリリーフか。とまれ歴代ボンドの売りポイントと次代女性ボンドへの期待を整理してみた。 ショーン・コネリー:丸出…

最後のダブルオー、ボンドの最期

ダニエル・クレイグ最後の007「ノー・タイム・トゥ・ダイ」をみて詰まらなかった。ダニエル7の中で一、二本の不出来と思う。007映画の良さがなく、ミッション・インポッシブルの面白さにも欠けていた。脚本と監督の責任と思う。 前も書いたが、かつての007映…

無法の飛沫

映画「無法松の一生」で、海が写されるシーンは小倉太鼓を打ち終わった後の一回だけである。 画面は、荒波のしぶきが気性と境涯との激しさを想起させる。 玄界灘付近の映画でありながら一度だけの画像によって、謙抑の最大効果を表して見事である。板妻版の…

70年の暑い日々

70年代のハリウッド映画は「太陽」がちがう。俳優の額には汗が光る。 時代の熱さを映じている。デジタル前の粒子の粗い画面が映える。

若豹でした

TOHOシネマで「孤狼の血 Level 2」を観てしまった。 松坂桃李の日向刑事を半熟に描いて評価。三年で一人前は早すぎる。 鈴木亮平は耳まで演じ切る凄みで85点。 元公安デカの中村梅雀の裏切りはヤッパシか・・で加・減点なし。 ラストの両雄対決はドラマ…

憑依の瞬間

「孤狼の血 レベル Ⅱ」の封切りは来週の金曜、その前に書いておきたいことがある。 前作「孤狼の血」のラスト近く、煙草の煙を吐き出しつつ日岡刑事が「あぁ、吸うとったわ」と呟くシーンがある。ライターは大上刑事の遺品である。大上の“狼”が日岡に乗り移…

狂熱のこだわり

サム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」は壮絶な西部劇である。ラストは野盗四人と数百人の敵との銃撃シーンである。数発の被弾で息絶える前、この四人は、マシンガンやショットガン、ライフル、自動拳銃に六連発リボルバーを撃ちまくって、数十人かそれ以上…

粗見

カサブランカの「君の瞳に乾杯」のことは以前にも書いたが、映画でボガードが四度も言っていたことには気付かなかった。以前の記事は、三度目の“ 乾杯 ”の事だけ注目して書いた。やはり映画は背中で、ながら・・で観てはいけない。 四度の「乾杯」は、前半の…

往と環と

映画「追憶」は往還の映画と思う。過去と現在を行き来して、ストーリーを織りなしている。ラストは往還のクライマックスである。大通りを行き来するハーブラ・ストライサンドとロバート・レッとフォードは、時間とお互いの立場を行き来する。 行き来だから、…

湿潤と乾燥

数日前にテレビで「たそがれ清兵衛」を流してい、途中から最後まで観た。面白かった。藤沢周平独特の湿度が、随所にみられはしたが。 正直、閑長は藤沢周平作品の高湿度、高粘度が苦手である。時代物ならカラッとした文体の五味康祐、柴田錬三郎、南條範夫を…

華のあるニヒル・・

眠狂四郎は市川雷蔵か田村正和か。想像を巡らすと楽しい問いである。 外観、雰囲気は五分、声も優劣決しがたい。演技も夫々堂に入ったもの。無想正宗の助太刀が欲しくなる。 だがしかし、柴田錬三郎が意図した眠狂四郎を思い浮かべ、狂四郎を狂四郎たらしめ…

還る表現

松本清張の短篇「張込み」は何度も映画になっている。不親切を承知であらすじの紹介は割愛させて頂きます。小説では刑事が密会の女さだ子に、 最終バスに乗って家に帰り、何事もなかったように普段の生活に戻るようにすすめて終わる。親切なようで無機質な、…

追想を追憶して・・

何度見てもバーグマン、プリンナーの「追想」はよい。ヘレン・ヘイズの「追想」といった方が良いかもしれない。 バーグマン、プリンナーが恋に落ちるところの伏線不足も、夾雑物のない一直線のストーリー展開に役立っているように思えてしまう。先日、BSで…

小味のワンカット

「エクスペンダブルズⅡ」で新たにメーバーに加わったビリー・"ザ・キッド"・ティモンズが、軍隊を辞めた理由を 「上官の命令で、面倒を見ていた野良犬が殺されたから・・」と語るシーンがあって、チームメイトのヘイル・シーザーの表情が写された。シーザー…

消耗しない輝き

消耗しない輝き 映画「エクスペンダブルズ」(消耗品ども)のラストシーンが、男の友情を描いていてお気に入りである。 謙抑と虚勢、張り合いと譲り合い、自負と自嘲、こもごも相俟って、一篇の短編映画のよう。出演俳優の表情がまたいい。ラストシーンだけ見…

アイ、クッド・・、メイビー

映画「追憶」はホテル前で始まり、同じ場所で終わる。そのあいだ、時代は往き、記憶は往還する。恋ごころは揺れはするけれど、アルバムの写真のように動かない。時代を渡った人と、渡らずに居残った人の物語である。「負け上手」とは、本人が言ったら覚悟で…

ゴットファーザーのジレンマ

今夜から年末番組でゴットファーザーがパートⅢまで連夜放送される。閑長の好きな映画ベスト10へのランクインはもちろん、映画史に残る名画と思う。 生きようとすると殺すことになり、愛することが憎しみや悲しみに繋がる。藻搔くほど逃れられない。この映画…