狂熱のこだわり
サム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」は壮絶な西部劇である。ラストは野盗四人と数百人の敵との銃撃シーンである。数発の被弾で息絶える前、この四人は、マシンガンやショットガン、ライフル、自動拳銃に六連発リボルバーを撃ちまくって、数十人かそれ以上の敵を道連れにする。野盗四人をそこまで追い詰めた相手は、実は元の仲間で、四人か死んだ後、宿命の星の下、呼び寄せられるようにふたたび野盗の世界に戻って行くのである。
書き止めておきたいのは、野盗の首領パイク・ビショップのガンベルトの色である。戦闘の始まりでは茶色だったが、息絶えた後のクローズアップでは黒色となっている。小道具さんのうっかりとは思いたくない鬼才ペキンパーの美意識とみる。こんな細部にも狂気じみた拘りを感じさせてペキンパー作品は小気味いい。
BSで再放送され、久々にゆっくり鑑賞した所感を書いた。