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閑長のひとり言

閑長のひとり言

濃い髪と血

ボヴァリー夫人」と「アンナ・カレー二ナ」は、どちらも女主人公の悲劇的な死で幕を閉じる。どちらがより名作であるかは、嗜好の問題になると思う。文章・文体フレークは前者を、プロット好みは後者を贔屓にするように思う。
 今日は、「アンナ・カレー二ナ」のモデルの話である。
 映画では過去、グレタ・ガルボヴィヴィアン・リーマイヤ・プリセツカヤソフィー・マルソーなど、錚々たる美女が演じている。けれども閑長は、ロシアの広大な大地を感じさせるタチアナ・サモイロワが、一押しと思っている。ヴィヴィアンは同じ大地でもアメリカ的であり、南部風である。マイヤでは恋に殉ずる濃い血を感じさせない。ソフィーだったら「ボヴァリー夫人」のエマでも不自然ではない気がする。グレタの容貌は硬質すぎて、アンナにもエマにも向かない、茲はどうしてもロシアの大地と、そこに生きるミルクと血を思わせるタチアナがうってつけと思うのである。

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