miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

2021-01-01から1年間の記事一覧

今年の締めは

チャンポンで酒を飲むと悪酔いするといわれる。アルコール摂取量が足し算式に多くなることを戒めたものという。ドイツでは「ウイスキーの後にビールを飲むな」と戒められるらしい。酔った後だと、飲みやすい酒が余計飲みやすいからだろう。その状況はよくわ…

対偶と邪馬台国論争

年末特番で、数年前に放送された「邪馬台国論争」が流されていた。「邪馬台国サミット2021」という番組名だった。いわゆる大和説と北九州説の比較と応酬である。 邪馬台国論争は、「邪馬台国」と彫り込まれた石柱の出土とか、棺に卑弥呼と記されたご遺体の発…

続・オーヘンリー短編集またはオーヘンリー後日談集

オーヘンリーの短篇は、“続き”を想像させる。 「賢者の贈り物」 数年して関係が冷えた二人が別れ、時計を送ってくれる女性とショートカット好みの男性を探し求める。 ⇒ない物ねだりはない物探し・・ 「赤い酋長の身代金」 成長した「赤い酋長」が強盗団に再…

やむを得ず、致し方ない

親族が規制を超えた寄付を受けたことで岡山県の伊原木知事が「法律の趣旨を逸脱していると言われてもやむを得ない」と謝罪していた。偶々テレビで観て「やむを得ない」の一語が他人事か、被害者のように聞こえた。 受け取ったのが親族であってもせめて「致し…

おもろいだけではつまらない・・

笑点2971回、本年最終回、林家三平最後の笑点を観た。 笑点は5人の回答者が個性を競い、司会者が軽妙に躱して盛り上げる番組と思う。助平に、ドケチに、半ボケに、悪玉に、お騒がせがいていい。5人の個性と司会者のやり取りが見モノなのである。中に、anfa…

好きな油彩画ベスト3

「サン・レミの風景」フィンセント・ファン・ゴッホ 「トランプをする人」ポール・セザンヌ 「壺の上に林檎が載って在る」岸田劉生 文学と同じく5点挙げようと思ったが、3点に留まった。 著名画の中から選んだ。 「サン・レミの風景」は不安定感と不確かさ…

私、ヘヴィ視聴者です・・

“番組の視聴は視聴者の自由である。NHKは観ないから受信料を払いたくない” この主張は至極正当と思う。 「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」通称「NHK党」の政見の全ては知らないが「NHKにスクランブル放送を求める」という部分には共感す…

そこにいる文豪

「アンナ・カレー二ナ」の女主人公アンナは、最後に列車に飛び込んで自死してしまう。飛び込むその場面ではアンナが一瞬、ためらい思い留まろうとする様子が描かれているのだが、その部分を読み返すたびにトルストイの意図を思わずにはいられなくなる。逡巡…

物事は四事象で・・

極東軍事裁判は、結局、勝者の判定だった。近頃よく放送されるテレビ番組を観ていてつくづくそう思う。 公平を期すならば、「訴追」つまり善悪の決着は、四つの事象で遂行されるべきだろう。 つまり、勝者による敗者の訴追、の他に ① 勝者による勝者の訴追 ②…

ワンさかは美しい

今年一年、100本以上の映画を観たが、映画館で観たのは「孤狼の血Part2」と「007の最新作」の2本だった。殆どの映画はテレビかビデオで観たのである。 映画館以外での映画鑑賞を認めなかったのは池波正太郎である。例外として劇場で一度観た作品を、テレビや…

おジジのジンの年末 2021

年末に初めて飲むジンを試すのがここ数年の恒例となっている。去年はグリノールズ・ジン 一昨年はプリマスその前の年はヘンドリックス、更にその前派フィラーズだった。今年はワイルドボタニカルを謳ったアイルランドジンのグレンダロウスを選んだが、凡庸だ…

マレーヴッチと救世観音

マレーヴィッチの「黒の正方形」の黒地のクラック、ヒビはマレーヴッチが作ったものではなく、制作後に生じたものという。今の状態になったのは作家の没後ではないだろうか。 法隆寺の救世観音を再現する番組があって、飛鳥時代の黄金に輝く姿を映し出した。…

ナナメ鑑賞の歓び

絵肌と訳されるマチエールは、線や色とちがって画集ではわかりにくい。三次元のモノを二次元で表現するには、斜めにしなければならず側面と裏面ができる。正面は正面でなくなる。 近頃観た一枚の絵は、見知りの絵であったがマチエールの素晴らしさに嘆息した…

岸田劉生と江夏豊

洋画家とプロ野球投手。 二人の共通点は、周囲を超越したスゴ腕の持ち主で、独善傲岸であったこと。けれども時代と世間に阿った朋輩よりはるかに記憶にのこる記念碑的業績を残している。 もうひとつ共通するのは愛してやまない会派やチームから放逐されたこ…

好きな漫画ベスト5

年齢・世代が判ってしまいそうだが・・ 「夕やけ番長」原作:梶原一騎・画:荘司としお 「伊賀の影丸」横山光輝 「荒野の少年イサム」原作:山川惣治・作画:川崎のぼる 「サバイバル」さいとうたかを 「ホーキング」さいとうたかを 番外「ベルサイユのばら…

好きな世界文学ベスト5

中高生のようなタイトルだけれど、当の本も“文部省推薦”に近い。 ・ゲーテ「ファウスト」 ・カフカ「審判」 ・メルヴィル「白鯨」 ・ブロンテ「嵐が丘」 ・ミッチェル「風と共に去りぬ」 番外編 「ペドロパラモ」出会って惹かれた順、つまり時系列である。 …

ハウ・ツー 弱体

繰り返すと意味が弱くなる。 接続詞は文を弱める。 形容詞は述語を弱くする。 強靭な文章の一例は聖書と思う。 NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」のテンポが好きで、主題歌を歌うAIも好きなのだが、当の主題歌に繰り返しが多く、メッセージを弱め…

複雑系へのルート

テレビ番組で将棋の藤井四冠が、「対戦相手に手を読み切られないよう、なるべく局面を複雑に保つようにしている」と語っていた。近頃の竜王戦を扱った番組だった。聞いていて閑長は数学の「複雑系」を思い描いた、「複雑系」とは、部分を観ただけでは特定の…

かっこいいと美しい

プロ野球日本ハムの新庄新監督は「かっこいい」をチームのスローガンにしている。新時代的と思う。打って、取って、勝ってカッコよければ良いし、例え負けてもカッコよければプロである。 俳優の児玉清が、「あの人に会いたい」という番組で、“ 美しく負けれ…

献ずる相手

昨日、今日と法事が続いて献杯の機会があった。乾杯と言っても同じかろうが、献と拝した方が贖罪観がある。ともかく杯を交わして故人を偲ぶひと時だった。 ハリウッド映画の「誰がために鐘は鳴る」はイギリスの形而上詩人ジョン・ダンの詩に由来する。鐘とは…

ラファエロの微苦笑-ラファエロ前派

素人の管見であるが、ラファエル前派は、技法や作品の特徴、思想的な集団というより、ネーミングとスローガンの方が先行してみえる。もしも彼らが秘密結社的に「P.R.B.」こと「Pre-Raphaelite Brotherhood」と自称し、当時の美術界の体制に敢然と挑みかから…

神々しくも愛らしい

牧谿の「観音猿鶴図」は、観音像の頭の“ 化仏 ”が少し曲がっている。急いで調べてたから「化仏」は間違いかもしれないが、ともあれ冠モノである。曲がりの件は、矢代幸雄も書いているから公知の事実なのだろう。 話題は変わるけれども、愛子さまがティアラを…

事実と真実、または映像資料と歴史資料

昨日12月8日は日米開戦の日で、太平洋戦争を扱ったテレビ番組が多い。中で開戦を告げる大本営発表のニュース映像が当時のマスコミのリクエストで再現されたものと伝えてい、少し驚いた。マッカーサーのフィリピン上陸映像がハリウッドばりの撮影を繰り返した…

稲穂の匂い

稲の穂に匂いはあるのだろうか。 高校時代の和歌を扱った授業で、担当教諭がある歌を採り上げて「稲の匂いというのは無いから、この歌でいっている“稲の香”というのは想像だろう」と話したことがあった。今、当のその歌を挙げられればよいのだが、思い出せな…

知の残り香と、重量

「時間は存在しない」」などの物理の著書で知られ「ループ量子重力理論」の提唱者の一人でもあるカルロ・ロベェッリは、「本を買う時、いつも匂いをかぐ。匂いが決め手になるから・・」と書いていて、共感する。 閑長は、買う決め手・・、には至らないが、ペ…

公爵の深酌勧酒

デュークバーボンは、西部劇スター ジョン・ウェインが、将来、自分の蒸留所を持つために書き残したレシピを元に、ジョンの没後に創作されたバーボンウィスキーで、閑長が手に入れて飲むのは二本目である。デュークは、ジョンのニックネームに由来する。 “デ…

貯金は幻想、借金は現実

財務省の事務次官の寄稿に始まる財政の「バラマキ」論争は、次官の名を取って「矢野論文」の名で拡散、反響を呼んだ。が、いつの間にやら下火になり、忘れられてしまっている。 粗略な二分法だけれども閑長は、希望を語ってお金(財政)をつかう政治の路線と、…

写のみち様々

写実絵画を特集した番組で野田弘志が、「今、写実画を描けというのは、貧乏になれというようなもの」と語っていて驚いた。悪写実、過細密、ワル達者・・、様々あろうが、写実であるが故に到達できないという事はありえない。フォーブもシュールもみんな好き…

好きな世界文学ベスト5

中高生のようなタイトルだけれど、当の本も“推薦”文学に近い。 ゲーテ「ファウスト」 カフカ「審判」 メルヴィル「白鯨」 ブロンテ「嵐が丘」 ミッチェル「風と共に去りぬ」 番外編 「ペドロパラモ」 読んで惹かれた順である。 「ファウスト」「白鯨」「嵐が…

あり在りとあり、只ただ生きる

シャルダンの描く静物画を評して放送大学青山昌文先生は「背後にある生活までも判る」としている。 私のようなものが不遜ではあるが、同感である。けれどもあくまで観者の目線、つまり解釈と思う。シャルダンは、満ちみちてある存在をただ描いてる。 金閣寺…