miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

詩とことば

待てば来たれり

美学に関する番組で、詩人の高橋睦郎が「詩を創るということは“ 待つ ”ことだ」と言ってい、「そんなことはとっくにリルケが言っている・・」と思ったが、なんと小林秀雄も自己の評論執筆を「神経を集中して『待つことだ』」と言っていて驚いた。 湧いてくる…

白い秋の風

「石山の 石より白し 秋の風」 芭蕉に言われなくても、秋の風は白く感じられる。 それは印象や趣きばかりではなく、大気中の水蒸気が関係するように思う。 気温の低下や日光の弱まりで、大気中の水分が結晶し、乱反射して、眼には白く感じさせる。 吸い込む…

意味のつながり、ニュアンスの関連

数日前、全体と部分について、「ものに部分はない」と書いたが、敬愛するボードレールの「悪の華」は、詩の並びにも意味が伴って、一篇の詩の解釈に前後、さらにその先の詩編の詩句やテーマが関係するという。 ボードレール自身が詩の並びや選出に心を砕いて…

とポン、、ゆらゆら

芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」の『水の』が余計では・・という話は随分前に投稿した。 芭蕉本人に聞かせたら、否みも怒りもしない一方、肯ずることもないと思う。 『水の』の言葉ひとつによって、あがる水滴とゆれる水面がシカと映像化される。

ポエジー

「ふきとばす石も浅間の野分かな」 軽井沢は浅間神社境内の句碑である。本歌とは助詞を一つ変えてある。 助詞の入れ替えで、コンデンスされて濃密になった分、俳味が失われて、散文になっている。 口ずさんで、空を仰ぎみる風情がこの句には欲しい。

抑制の風

新井満という人が「千の風」を訳詞したということは、NHKの「あの人に会いたい」で初めて知った。実は新井満という人のことも初めて知った。 原詩は良いと思う。好きである。訳詞は意訳が過ぎる。違訳とすら思う。さらに頂けないのは歌謡の歌いっぷりである…

不倒、不眠、そして不滅

ボードレール「憎悪の樽」の最終段を長く理解しかねていた。疑心化された憎悪と、酔漢との境遇の違いが胸に落ちないのである。敵わぬ相手としての「酒」や、憎悪の片棒のような「復讐」も、擬人化されて登場する。岩波文庫 鈴木信太郎訳で最終段をみよう。 ―…

主客の立ち位置

「聞こえるメロディは美しい けれども聞こえないメロディはもっと甘美である」 ジョン・キーツ「小さな真実は明晰な言葉をもつが、 大きな真実は大きな沈黙を持っている」 ラビンドラナート・タゴール こころを打つ知恵の言葉である。 けれども閑に任せて付…

自選によるサラ川拾遺

「未発表作に限る」とあって従ったが、エントリー後の取り扱いには特段の制限はなかった。 ボツになったのだから、公にしても支障なかろう。 リモートで 要らないポスト はっきりし 縮小子 リモートは オイ!なし イヤ!なし 視線なし ホッとする意気地なし …

少年と「生死」

俳人永田耕衣の「少年や 六十年後の 春の如し」は好きな一句である。はじめて読んだ時には60年後に回春の若返りをはたす句と思ったが、今は60年経て進歩も老成もない身を自嘲するようにも読める。正しい読み方かどうかは判らないが、六十を超えてようやくた…

ワンさかは美しい

今年一年、100本以上の映画を観たが、映画館で観たのは「孤狼の血Part2」と「007の最新作」の2本だった。殆どの映画はテレビかビデオで観たのである。 映画館以外での映画鑑賞を認めなかったのは池波正太郎である。例外として劇場で一度観た作品を、テレビや…

その玉や 羽黒にかえる 法の月

「開運なんでも鑑定団」の再放送で、芭蕉の真筆書簡が出品され、鑑定額は八百万円だった。 興味を引いたのは金額よりも文面で、掲出句の「其の玉」の筆跡が「無き玉」と紛らわしく、門人からのどちらか、との問合せに芭蕉自身が応える内容だった。 芭蕉の返…

度胸千両、諦念万両

生保会社が募集する「サラリーマン川柳」に応募しようといくつか駄柳(?)をものしたが、これはサラ川ではなく、リタイア川柳かシルバー川柳だと気づいた。けれども変に愛着がわくので、没にする前に書き止めてだけおきたい。 〇 立ち至る 道におののく 達令…

時代とスペル合うと

大昔、外国為替の仕事をしていたころ、アルファベットをそれぞれ別の単語に言い替えることを教えられた。ビーとか、デーとか、似た音の聞き間違いを防止するためである。Aはアメリカ、Bはボストン、Cはカナダ、Dはデンマーク等々といった。こういう言い替え…

負い目と引け目

「ある文章のある文に当てはまる言葉は、たった一つしかない」と、ポール・ヴァレリーと谷崎潤一郎、東西の文豪二人が、語ったか書いていたと記憶する。 「うとうと・うつらうつら」に引き続き、「負い目・引け目」の比較を試みたい。前回に引き続きこちらも…

老いの寝覚め

意味はほとんど同じで、少しだけ用例やニュアンスが異なる言葉は多いが、その選択は適切かつ的確に行いたい、と云うのが閑長の持論である。 そこで、森田善行先生の「基礎日本語辞典」の向こうを張って、似た言葉の違いを掘り下げてみる。 宿酔いの頭が直観…

風に語る

蝉鳴くや つくづく赤い風車 ふるさと信濃の俳人 小林一茶の句。“つくづく”が効いている。 赤は信濃的な色である。赤は土の色であり、むき出しの土地の色だから。山に囲まれ、川に恵まれた長野県は、崖や河岸が随所にみられる。そこはむき出しの土地に出会う…

そのとき・・

経験では、句の後半が口をついて出て来る俳句は、良い出来と思う。投稿の前に調べたら、二句と結句というらしい。つまり、後半三分の二の、七・五のパーツである。七・五が決まると句を締め、メッセージが骨太となる。恰好付けずに有体に言うと、最近、発句…

言葉ならざるもの

プラトンの第七書簡に、言葉とは弱い伝達手段であって本当に大切なことは「書かれたもの」や「書物」には盛り込めない、とプラトン自身が記している。 国際間の肝心要の取り決めは、実は不文法で定められており、領土に関しては、力で決まる、と決められてい…

放り出すこと

詩人の高橋睦郎が、詩作するとは詩がやって来るのを待つこと、と語っていた。語りの相手は美学者青山昌文で、放送大学「美術の歴史と理論」の二回目の講義だった。閑長は詩人ではないが同感である。リルケは詩作とは待つことだ、と言っている。 詩人は続けて…

わび さび ひえ やせ

痩せと俳句は相性がいい。太るだと句にならない。夏痩の手に広辞苑 重きかな 岩崎照子 只でさえ重い。 夏痩にことさら触れで 別れけり 宮地英子 夏痩せの事には触れず 別れけり 加藤正子 還暦ともなれば誰でも心当たりがある。 夏痩詩人 ワインの栓も抜き兼…

「感覚に直接与えられたものについての試論」

少しでもジェンダーが絡むと失言の指弾を受け兼ねない昨今である。閑長もよく家人に暴走を戒められる。だが女流の魅力を語るなら、なにも心配なかろう。 詩と絵画、この両分野において閑長は、女流のファンであり、詩においては女流一辺倒に近い贔屓である。…

詩魂

詩魂という言葉は辞書で引いても載っていないが、安東次男と寺山修司の詩作と鑑賞眼は、この語でしか言い表せない。鍛錬や習熟、歳月や年季では達せられない深さがある。生得のものと思う。 以前からそう思っていたのだが、近頃安東の「与謝蕪村」を読んでい…

私、ことば、世界

「私がいないところ、自然は不毛である」 “Where man is not, nature is barren.”ブレイクの詩「The Tyger」の詩句である。キーツの詩だと思っていたら、ブレイクだった。「私の言葉の限界が、私の世界の限界である」 “Grenzen meiner Sprache bedeuteh die …

“逆”説的表出

ウィリアム・ブレイクの「地獄と天国の結婚」は逆説の書である。 その言葉は思考を活性させる。 「コントラリーがなければ、進歩がない。人間には、魅力と反発、理性とエネルギー、愛と憎しみが必要である」表現は挑発的で逆説的である。 「過剰の道は知恵の…

かなたの表現

「耳に聞こえるメロディは甘く美しい 聞こえないメロディはしかし、もっと美しい」 ジョン・キーツ「小さな真実は明晰な言葉をもつが、 大きな真実は大きな沈黙を持っている」 ラビンドラナート・タゴール こころを打つ知恵の言葉である。だが閑に任せて付け…

味噌は豆を煮て・・

今月6日の「われらそば蛮族」の投稿で、古代の蛮族が野牛の肉を、その胃袋に水と入れ当の牛の骨を焼いて煮るエピソードと、閑長のそば湯でそばを啜る習慣を似ている、と紹介したが、中国の故事を失念していた。三国志の姦雄曹操の二人の男児 曹丕と曹植にま…

言葉の文様

没後50年で三島由紀夫が取上げられることが近頃多い。自衛隊突入と割腹自殺がクローズアップされるのだが、本業の小説について三島は、自身の小説のメチエ、マテリアルを人生や思想などではなく、言葉であるとしている。言い切る点はさすがに鬼才である。 「…

限界ありて

数学は中学時代は得意科目、高校生になってからは敬遠科目となった。つまり幾何好きの、代数嫌いだった。 補助線好きで、それが幾何好きの理由の一つだった。余計な補助線は邪推に繋がると後でわかった。 数学に、自乗すると-1になる想像上の数字、虚数が…

宿命の円環

ボードレール「憎悪の樽」の最終段を長く理解しかねていた。疑心化された憎悪と、酔漢との境遇の違いが胸に落ちないのである。敵わぬ相手としての「酒」や、憎悪の片棒のような「復讐」も、擬人化されて登場してややこしい。岩波文庫 鈴木信太郎訳で最終段を…