その玉や 羽黒にかえる 法の月
「開運なんでも鑑定団」の再放送で、芭蕉の真筆書簡が出品され、鑑定額は八百万円だった。
興味を引いたのは金額よりも文面で、掲出句の「其の玉」の筆跡が「無き玉」と紛らわしく、門人からのどちらか、との問合せに芭蕉自身が応える内容だった。 芭蕉の返事は、「どちらでも・・」というものだった。
芭蕉の最初の句は「其の玉」と「無き玉」のどちらだったのか。
閑長は、最初「無き玉」と書いたが、門人に言われて「其の玉」も捨て難くなった、と邪推する。
もしもそのとおりで、しかも「無き・・書いたが、其の・・の方が宜しい・・」という返書が伝わっていたら、芭蕉の知られざるプロフィールを語る格好の資料だったろうと、想像を巡らせる。