miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

芸道

人の藝

書が佳いか、歌が良いかは難しく、両方いいとしておけば無難なのだが、何方かというと歌は筋張って、書は柔和に傾いてみえる。足し合わせれば、良寛の芸道が完成するのかもしれない。人柄を加えればまさに神域であろうか。

多事多難

近頃、と言ってもここ数日なのだが、能と能面に興味が募って、楽しみつつも苦しんでいる。 現在の関心領域には、中島敦、松本清張、ボクシングとボクサー、ワイエスが幅を利かしており、その上に「能」まで割り込んできたら・・。 「森羅万象に多情多恨ナレ…

はッ?

能面の図鑑を観ていて、一番、「美女」と思ったのが“ 近江女 ”だった。 どこが現代的だった。大原麗子に似てみえた。恋をあきらめきれない女性の執念を表現した面という。瞳の孔が楕円形で、ほかの女面にはない下歯を覗かせているのが特徴という。ある解説書…

共同作業としての芸道

毎週みている「目撃ニッポン」という番組が、今回は二つ目の落語家 林家つる子を紹介していた。つる子は伝統の演目「芝浜」を、現代の女性目線で新解釈している。高座は、涙ながらの熱演である。話のアレンジでは、女房お千の勧める酒を旦那勝五郎が「よそう…

笑いに型なし

「悲劇の最大要素は必然性・・」とは、確か福永武彦の言葉だったと記憶する。隕石の衝突で北半球の全人口が死亡したら大惨劇だが、隕石到来は偶然の出来事で必然性がなく、ドラマとしての悲劇性はない。 その伝で云って、任侠物の最大要素は「義理」、ヤクザ…

おもろいだけではつまらない・・

笑点2971回、本年最終回、林家三平最後の笑点を観た。 笑点は5人の回答者が個性を競い、司会者が軽妙に躱して盛り上げる番組と思う。助平に、ドケチに、半ボケに、悪玉に、お騒がせがいていい。5人の個性と司会者のやり取りが見モノなのである。中に、anfa…

「不〇の不〇」

「射」を描いて三日目になる。 詩文、散文、映画では「不射の不射」は珍しくないのかもしれない。 けれども、弓の場合と違って、後の方の「不射」の有無はどう判別するのだろうか。

音楽の「不射の不射」

絵画の場合の「不射の不射」は、答えが出なかった。音楽の場合は素晴らしいお手本があった。 「聞こえる音楽は美しい。聞こえない音楽はもっと甘美である」 ジョン・キーツ芸道というより感性の深奥を覗く思いがする。 廻り回って、音楽の「射の射」が喚び起…

不射の不射 不描の不描

中島敦の「名人」は高校生の時に初めて読んで、その後、何度も読み返している。 天下第一の弓の名人になろうと邯鄲に住む紀昌が、名手・飛衛に入門する。 五年余の難しい修行のすえに奥義秘伝を習得する。 腕に自信を持った紀昌は、師の飛衛を殺そうとして失…

読むか読まぬか

藤井二冠の竜王挑戦が決まって、初戦は来月8日という。 最早、以前のように豊島竜王を苦手としなくなった藤井二冠だが、竜王戦の持ち時間は8時間と長い。読み過ぎの将棋指しが、相手が角道を開けただけの初手に「負けました」と応じる、そんな落語があった。…

詰まない王手は一手損

叡王戦二戦目は藤井二冠の14手連続の王手を躱して豊島二冠が勝利した。 王手を凌ぎつつ自陣を固めたタイトル保持者と、王手を繰り出しつつ王手前の譜面に留まった挑戦者の時勢の差が出た一局になった。 すぐに又、第三局を迎える。

掟の壁

藤井二冠が豊島竜王二冠に挑む叡王戦初戦に勝利し、今日が二戦目である。前回の投稿では豊島竜王二冠に「天敵」の肩書を加えたが、三連勝もすればその形容はもはや相応しくない。かねて藤井八段が豊島九段への苦手意識を克服すれば、将棋の階段を一段登ると…

伝わるニュアンス

さいとうたかをの「ゴルゴ13」を特集した番組で、さいとうたかを御大が、ゴルゴの顔は無表情な中に表情をつけるのが難しいと語っていた。 ゴルゴは場面・場面で異なる微妙に表情をみせる。それは、目線の方向と、左右どちらかの瞳、恐らくは目立たぬ方の瞳の…

不易流行

季節のサイクルが「春夏秋冬」となったのは平安朝の新古今和歌集の章立てによるらしい。季節は繰り返すから、「春夏秋冬」「春夏秋冬」「春夏秋冬」が繰り返される。いつも春からリスタートするのである。もしこれが「冬春夏秋」であったなら、季節感ばかり…

新世紀味に令和風味・・

「笑点」の司会者で落語芸術協会会長を務める春風亭昇太、「あわて」を表とするその芸風は、落語界には珍しい新味に思う。「とぼけ」「ぼけ」「つっこみ」「あかし」「おとし」「間」は、この世界の常道として、江戸前にはキレ、上方には流れと調べがある。…

哀、歓 重大な意味

韓国の民俗舞踊は、喜びと同時に哀しみの舞であるという。踊りの名手が語っていた。うらみ、怨恨の「恨」の意味まであるという。消極的な「恨」ではないと言っていたが、積極的な「恨」というのをかえって空恐ろしく感じられた。 民俗舞踊、民俗音楽など、生…