miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

読書

紀要文学

美術館の紀要を読んでいて、 麗々しい”当たり前”の掘り下げ、 限定句過多の言い回し、 妙なへりくだり、等々に食傷した。 編年の数字を扱うのに、表もグラフも使わないのに呆れてしまった。結局、斯界はこのヒエラルキーと湯加減、 つまり遠慮と忖度、摩擦の…

誇り

カジキマグロ漁を戦場とした小説は「老人と海」の他にもあった。 フレデリック・フォーサイス「帝王」は読むに足る一冊である。あらすじの紹介はネットに譲りたい。 「老人と海」よりも通俗である分、パンチの効きはよい。即効性がある。 ただ、タイトル「帝…

思いがけなく出会った、出会うべきもの

「絵画の発明」という本を手に入れた。サッティスというイタリアの美術史家の作である。 副題は「ジョルジョーネ”嵐”解読」とある。パラパラとしただけで未読である。 絵画が、絵画表現でしか表せなかった意図と主題を、ジョルジョーネの謎多き名作で論攷し…

勝者の得るモノ、与えられる物

ヘミングウェイの「勝者にはなにもやるな」の勝手解釈である。 ・与えては不純になる ・全て得ている ・すでに得る、失う・・を超越している ・” やる ” 分だけ失ってしまう どれも違う感じがする。

マダムとの相性

「マダム・ボヴァリー」は、ほとんどの仏文関係者が賛美するフローベールの名作であろう。サマセット・モームの推す『世界の十大小説』の一冊でもある。 ミーハーの閑長はもちろん飛びついて読んでみた。入手困難な中村光夫訳の文庫本まで手に入れて読んだ。…

ピカレスクなかりせば・・

関羽よりも張飛好き、 趙雲よりも夏侯惇好み、 孔明よりも周瑜贔屓、 馬謖よりも龐統ファン。 コアな三国志ファンならば、大方、肯首頂けると思う。 さもなくば、激烈な三国志論議が始まるか、どちらかと思う。

非共感のメッセージ

近頃亡くなった立花隆が、本の推薦を頼まれて断ったいきさつが、同氏の蔵書と読書量を称える本に載っている。 氏の言いたいこと、それは愛読書や共感書は、人みな違う・・という事と思う。だとすれば、全く同感である。 閑長は赤川次郎と内田康夫と藤沢周平…

「バベルの図書館」の「バベルの著作」

阿部公房が自著の「砂の女」のインタビューに対し「大意なんて書けるくらいならこの本は書かない」と応えていた。NHKの「100分で名著」という番組だった。 以前にも似たようなことを見聞した記憶がある。 「プラトン」の著者 田中美智太郎は、要約できないか…

癌のペア書籍Ⅱキャット・アーニー『ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物』 主に臨床面からの目の覚めるような解説で、「がん」に対する認識が一変する。アシーナ・アクティピス『がんは裏切る細胞である―進化生物学から治療戦略へ』 病理学的な…

創文社のしごと

昨日も書いたけれど、事業休止した創文社の大事業に『ハイデッガー全集』の出版がある。 つくづく思うのだけれども、東大出版界が事業を引き継ぐとはいえ、 タイミングを逸した出版にならないものかと、その事が案じられる。

文を創る

詩集に使う活字について投稿しようとし、表紙の活字を、出版の都度一冊づつ誂える出版社のことを思い出し、調べて見たら、二年前の2020年に出版事業を休止していた。創文社という思想系書籍の出版社である。 下記はウィキペディアの記載である。 創文社(そ…

本読みの宿命

断捨離、終末対応で本の処分を進めている。売却、廃棄前に一応パラパラと目を通す。元々本好きだから、自然とページに目が留まり、読み始めてしまう。 それだけならまだいい。目が留まった本の関連書籍や引用資料を読みたくなって図書館や古書を漁ることにな…

新刊として産まれ、古書、古典籍として育つ

蔵書が増えてボックス倉庫を借りている。 「そんなに買って読むのか・・」という質問に、 「切手コレクターにそんなに手紙を出すのか」と聞くようなものだ・・ と往なしてきた結果である。 還暦を過ぎると処分に頭を悩ますことになる。 読み切れないことは分…

頭の偏り

小林秀雄は、自身が集めた骨董や古美術の類を並べて眺め渡し時の感想を“ 偏した頭脳的操作 ” と自嘲的に総括している。小林の眼が一段上がった瞬間を書いたように思う。 突然であるが、下記は閑長が全巻揃いで持っているマンガ本である。 荒野の少年イサム …

怪談男

夏の読書スペースとして、階段は実にいい。 腰を掛けられる、階段窓から冷風がふきこむ(階段風は心持ち涼しい)、読みかけ本と読了本を踏み面で別けられる、らせん形状なら壁が背もたれとなる・・。 ところで阿部公房の「箱男」には庇による“雨仕舞”の方法が…

ルパン対ホームズ

子供の頃、探偵・冒険小説好きだった閑長は、贔屓はルパンで、ホームズは敬遠だった。今思えば活劇が好きで、風俗や大人の嗜好を解する知識がなかった。今、ルパンを再読する気にはならないが、ホームズは時折、繙いてみたくなる。ジェレミー・ブレットのホ…

暴君の次に来るもの

NHKの100分で名著というシリーズ番組で、ボーボォワールの「老い」を解説していた。第3回では「老人と性」が採り上げられ、講師の上野千鶴子東大名誉教授が、「女の子宮は社会の物」「老人の性のタブー視は所属社会と、自己の思い込みの産物」等々、気炎…

画家のすべて

日記と書簡類が含まれて「全集」とよばれ、含まれないのは「集」とか「著作集」とされる。以前、そんな文章を読んだことがある。してみると岩波の「岸田劉生全集」は正しく全集なのだが、画家の場合は絵を含まないのは、全集の僭称ではないか。せめて全十巻…

せいちょうぶし

松本清張の好きな短篇小説は「真贋」と「笛壺」である。好きが嵩じて初出の「文藝春秋」まで蒐めてしまった。好きに理由はないけれど、主人公の共通点は、すぐに浮かぶ。 ・研究者等の専門職種 ・中高年 ・不運な境遇 ・恵まれない女性運 ・悲劇的な結末 な…

快著の快刀乱麻

院展画家の特徴であり、落し穴でもある傾向が、ずっと謎だった。謎をかけたのは針生一郎「愛憎の画家たち」である。答えまで書いてくれればよいのに、謎だけかけて放って置かれた。 小林秀雄の玉堂評が気になっていた。曰く「画技に豊かなものがないから、含…

快著「近代京都日本画史」

展覧会図録を作成した経験でいうと、情熱を傾けた美術本かどうかは、索引とコラム、引用と注書きの多寡で判断可能である。この要件を高いレベルで充足し、詳細年表まで付いた、嘆息物の書籍「近代京都日本画史」が、昨夏出版された。 画家の主要作品が複数掲…

跪き、抱きかかえ

江戸川乱歩のおどろおどろしい怪奇の世界、近頃テレビでちょくちょく放送され、原作を読み直して、谷崎潤一郎に似ていると思った。描く世界、話の展開、文体、みな似ている。サクッ、すらっといきさつを書き抜ける捌き方など、瓜二つと思う。乱歩の「パノラ…

閑長の一度かぎりの夢

小林秀雄の「ゴルフの名人」という短篇は、全集はもちろんいくつもの文庫に載っている。四ページくらいだから直ぐに読める。ゴルフの名人と自称する男とのやりとりをまとめたものだが、いま、あらましを書こうとすると、簡単にまとめられず当惑する。全文を…