miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

読書

癌のペア書籍Ⅱキャット・アーニー『ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物』 主に臨床面からの目の覚めるような解説で、「がん」に対する認識が一変する。アシーナ・アクティピス『がんは裏切る細胞である―進化生物学から治療戦略へ』 病理学的な…

創文社のしごと

昨日も書いたけれど、事業休止した創文社の大事業に『ハイデッガー全集』の出版がある。 つくづく思うのだけれども、東大出版界が事業を引き継ぐとはいえ、 タイミングを逸した出版にならないものかと、その事が案じられる。

文を創る

詩集に使う活字について投稿しようとし、表紙の活字を、出版の都度一冊づつ誂える出版社のことを思い出し、調べて見たら、二年前の2020年に出版事業を休止していた。創文社という思想系書籍の出版社である。 下記はウィキペディアの記載である。 創文社(そ…

本読みの宿命

断捨離、終末対応で本の処分を進めている。売却、廃棄前に一応パラパラと目を通す。元々本好きだから、自然とページに目が留まり、読み始めてしまう。 それだけならまだいい。目が留まった本の関連書籍や引用資料を読みたくなって図書館や古書を漁ることにな…

新刊として産まれ、古書、古典籍として育つ

蔵書が増えてボックス倉庫を借りている。 「そんなに買って読むのか・・」という質問に、 「切手コレクターにそんなに手紙を出すのか」と聞くようなものだ・・ と往なしてきた結果である。 還暦を過ぎると処分に頭を悩ますことになる。 読み切れないことは分…

頭の偏り

小林秀雄は、自身が集めた骨董や古美術の類を並べて眺め渡し時の感想を“ 偏した頭脳的操作 ” と自嘲的に総括している。小林の眼が一段上がった瞬間を書いたように思う。 突然であるが、下記は閑長が全巻揃いで持っているマンガ本である。 荒野の少年イサム …

怪談男

夏の読書スペースとして、階段は実にいい。 腰を掛けられる、階段窓から冷風がふきこむ(階段風は心持ち涼しい)、読みかけ本と読了本を踏み面で別けられる、らせん形状なら壁が背もたれとなる・・。 ところで阿部公房の「箱男」には庇による“雨仕舞”の方法が…

ルパン対ホームズ

子供の頃、探偵・冒険小説好きだった閑長は、贔屓はルパンで、ホームズは敬遠だった。今思えば活劇が好きで、風俗や大人の嗜好を解する知識がなかった。今、ルパンを再読する気にはならないが、ホームズは時折、繙いてみたくなる。ジェレミー・ブレットのホ…

暴君の次に来るもの

NHKの100分で名著というシリーズ番組で、ボーボォワールの「老い」を解説していた。第3回では「老人と性」が採り上げられ、講師の上野千鶴子東大名誉教授が、「女の子宮は社会の物」「老人の性のタブー視は所属社会と、自己の思い込みの産物」等々、気炎…

画家のすべて

日記と書簡類が含まれて「全集」とよばれ、含まれないのは「集」とか「著作集」とされる。以前、そんな文章を読んだことがある。してみると岩波の「岸田劉生全集」は正しく全集なのだが、画家の場合は絵を含まないのは、全集の僭称ではないか。せめて全十巻…

せいちょうぶし

松本清張の好きな短篇小説は「真贋」と「笛壺」である。好きが嵩じて初出の「文藝春秋」まで蒐めてしまった。好きに理由はないけれど、主人公の共通点は、すぐに浮かぶ。 ・研究者等の専門職種 ・中高年 ・不運な境遇 ・恵まれない女性運 ・悲劇的な結末 な…

快著の快刀乱麻

院展画家の特徴であり、落し穴でもある傾向が、ずっと謎だった。謎をかけたのは針生一郎「愛憎の画家たち」である。答えまで書いてくれればよいのに、謎だけかけて放って置かれた。 小林秀雄の玉堂評が気になっていた。曰く「画技に豊かなものがないから、含…

快著「近代京都日本画史」

展覧会図録を作成した経験でいうと、情熱を傾けた美術本かどうかは、索引とコラム、引用と注書きの多寡で判断可能である。この要件を高いレベルで充足し、詳細年表まで付いた、嘆息物の書籍「近代京都日本画史」が、昨夏出版された。 画家の主要作品が複数掲…

跪き、抱きかかえ

江戸川乱歩のおどろおどろしい怪奇の世界、近頃テレビでちょくちょく放送され、原作を読み直して、谷崎潤一郎に似ていると思った。描く世界、話の展開、文体、みな似ている。サクッ、すらっといきさつを書き抜ける捌き方など、瓜二つと思う。乱歩の「パノラ…

閑長の一度かぎりの夢

小林秀雄の「ゴルフの名人」という短篇は、全集はもちろんいくつもの文庫に載っている。四ページくらいだから直ぐに読める。ゴルフの名人と自称する男とのやりとりをまとめたものだが、いま、あらましを書こうとすると、簡単にまとめられず当惑する。全文を…