miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

絵画鑑賞

留置

レオナルドが絵を完成させなかったのは、 未完性を理由に引き渡しを拒みたかったからだろう。

さかしら Ⅱ

夏目漱石は菱田春草の「鹿」に 行き過ぎた擬人化を観ることはない、なかったと思う。 鹿は静かに耳を澄ましているだけである。

さかしら

木島櫻谷が山腹の狐を描いた「寒月」を、評論記事で酷評した夏目漱石が、 菱田春草の「鹿」を観たらなんと言うだろうか。 制作年と没年からは、経眼する機会のあった筈なのだが。

弱素・鋪露句Ⅲ、意外なメロディ

ジャクソン・ポロックが制作中に聴いていたという楽曲は、 意外にも軽快でフォークダンスのようなメロディが多かった。 MoMA販売の「ジャクソン・ポロック Jazz」CDを聴いて判った。 ハードで刺激的な曲を想定したので拍子抜けした。

弱素・鋪露句Ⅱ、埋め尽くして・・

ジャクソン・ポロックの オール・オーヴァー作品、 しかれども、 少しでも余白めいたスペースのある作品に好感を覚えてしまう。

弱素・鋪露句

現代美術のパイオニア、 ジャクソン・ポロックは、 信じがたいが、なんと、 明治末年、大正元年の産まれだった。

羽音

三岸節子の「美神の翼」を読んでよかった。情熱の美学書 最良の人生指南 懇切な画技書様々織り交ぜた人道書に出会った。 TVの美術番組を観ての読み始めだったが、大きな収穫だった。

現代性と普遍性、、

北斎展を観、現代アートに通じる画技と画題を感じた。 現代のモダンアート作家で、 100年、200年後、 同様の思いを感じさせる作家は誰だろうか。

基本、無題

絵画作品に「タイトル」「題」は、必要なのだろうか。 題と作品と、テーマが二つになりはしないか。 「無題」すら鬱陶しい。

百年の鎹

画壇の巨星、野見山暁二画伯が没した。 野見山画伯を源泉とする画家や作品がいかに多い事を思うと、 令和、平成、昭和を繋ぐ、 靭帯、紐帯、結節点が失われた思いがする。

美、その諧調   審美眼、その位階

麻生三郎展を観て、いいとは思ったが感銘は受けなかった。 あらためて世評とテイストの差を感じた。

長すぎる列

新美の「ルーブル美術館展」、 前売り券がありながら、二時間待ちだった。 ペアの列が館の外まで繋がっていた。TVで展覧会が紹介されてい、 やはり二時間を別に使って正解だったと思った。

結局は・・

ロダンの考える人は何を考えているのか。 諸説あるようである。 対象はなんであれ、主観化以外にあり得なく思う。

逆アプローチ、或いは押してもダメなら・・

「怖い絵」シリーズの中野京子の該博な知識にはいつも驚嘆している。 ある時フト、この文は絵からのアプローチではなく、 歴史や風俗、格言などなど、 絵画回りの豆知識からスタートしているのでは・・と思い当たった。 そう考えると、実にスッキリ種明しさ…

思念のストーン

クールベの「石割人夫」は、空爆で失われて「完成」したように思う。 只でさえ名作だが、より“ 有名 ”になっただけでなく、 物理的な視界から消えて、別の世界に産まれかわってはいまいか そう考えると、プラトンのイデア論をフト想起してしまう。

「死の島」考

ペックリーンの「死の島」は、第二作と三作が良いと思う。 一作目は人物が昂然とし過ぎている。 逆に四、五作目は、人物のお辞儀姿のニュアンスが強すぎる。 第二作と三作の優劣は決しがたいが、 三作目の立木までも衰えさせる島の“死”の影響が画題とピッタ…

朱と血糊

夭折の天才画家関根正二は、朱色に生の歓喜と死の恐怖を込めたという。 同じく早逝した村山槐多がガランスに込めた熱情と渇望に、似てもいるし対称的でもある。 関根に戻って代表作「信仰の哀しみ」には中央の女性だけが朱色に描かれ、彼女だけが俯いている。…

東西の類似・・

北斎とルーベンスの絵が似ている。 力いっぱいで、しかも畝っている。 劉生が自著で北斎を貶すゆえんでもある。 もっとも知る限りではルーベンスにはノーコメントだったと思うが・・。

共犯の従属性と主体性

以前、別のところで「(美術作品の)照明は、作品解釈、額装は世界観」と書いたことがあったが、額装も作品解釈 と言って良いと、額選びをしていて気が付いた。 観者を念頭に置けば、額装は作品の翻訳であり、翻案でもあり、キャスト選びに近いと云えるかもし…

太陽と敬虔

「太陽がいっぱい」の彼女役マルジェが貰った本の画家は「フラ・アンジェリコ」だった。 何度も観た映画だったが、今回はっきり認識した。 ストーリーにマッチするかは判断できないが、マルジェにはピッタリかもしれない。 映画を観終わって、フラ・アンジェ…

前評判ほどは、

原田マハが持ち上げたゴンブリッチ「美術の物語」、読み終えたのだがさほどのことは無いと思う。むしろ同先生の「美術の歴史」の方がわずかながら秀でているように思われる。 ただ、強いて言えば画家の対比的な記述・評価などは、ほどほどに楽しめる。 ジョ…

両替お願いします

「コインに両替できない紙幣はニセ札だ」と喝破したのは、現象学の始祖エドムント・フッサールと記憶する。 意味するところは、どんなに難しく高尚な理論でも、かみ砕いて説明できないモノは皆まやかしだ、という意味という。 当妙の比喩に脱帽である。但し…

ロシアと南米

ロシアの国立トレチャコフ美術館の収蔵品をみて、ぜひ訪れたくなった。レーピン、クラムスコイ、シーシキンにスリコフにベロフ、珠玉の作品が並ぶ。これを観ずして死ねるか、とそんな気持ちになった。間違くなく観ずに死ぬのだろうけれど、険しく鋭い象徴力…

黒い正方形s

ロシアの画家マレーヴィチの「黒い正方形」は、閑長の大好きな作品である。 けれどもその作品が四つもあるとは知らなかった。クラックの有無、マット的な部分の大きさや汚れで識別できるらしい。 「絶対無」の思想を代表する作品なので唯一であってほしいと…

真一文字

映画「ボルサリーノ」で、アラン・ドロンが掌を上げるシーンがあり、手相でいう「ますかけ線」が写った。 日本で「ますかけ線」は、困難な状況下で力を発揮する成功の相とされる。 はたして手相判断に洋の東西があるのだろうか。 ともあれ、アランのキャラに…

ドレドレ

キリストの後ろ姿について、今まで二度ほど投稿した。「キリストの後ろ姿を描いた作品がない」と。ある美術館の館長に質問をぶつけるチャンスが巡ってきた。館長さんは西洋絵画の歴史に詳しく、入門書も多く描いている斯界の権威である。 返答は「記憶にない…

感性の連鎖

白洲正子が小林秀雄の骨董狂いを評して「焼き物をいじくり回したから、手で触って味わえるような文章が書けるようになった」と書いている。 運動神経に優れた画家のボタンの絵を観て、白洲のこの言葉を思い出した。 松尾敏男 「雨余」

加算画法

地方の公募美術展で力の込められた作品をたくさん観た。 オブジェクトが多く賑やかな作品、描き込みに念がいっている作品、そんな作品が多いと感じた。 行き過ぎると騒々しくなる。 一巡してオブジェクトと描き込みを減じた作品も観たい気持ちになった。

過ぎたるは尚・・「説明的」ということばが、絵画で描き込み過ぎの出来の悪い例として使われている。遠近法をはじめ絵画史は説明を高める歩みでもあったと思うのだか、やはりほどほどが良いのだろうか。かといって近頃の説明がつかない絵が評判になるのはど…

「ジョルジョーネ頌」

ティツィアーノに比定される作品を、ジョルジョーネ作と鑑定すると喜ばれるといわれるが、それは単に稀少性と価格だけの問題ではないと思う。 「詩想の画家 ジョルジョーネ」「絵画の発見 ジョルジョーネ『嵐』解説」を続けて読んで、絵画という芸道の象徴力…