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閑長のひとり言

閑長のひとり言

二つの肖像

甘粕正彦の評伝二作を続けて読んだ。
似て非なる人物が二人現れた。
両作を合体、混合させようとしても。中々混ざり合わない。
山なら山、薔薇なら薔薇といった、同じモチーフを描いた別の二つの絵に思えた。
伝記の宿命かもしれないが、客観を探索し選別するのは主観なのだ、
偶然と運も大きく影響する。
率直な読後感をいえば、余りのめり込まない女性作家の筆に共感を覚えた。

 角田房子「甘粕大尉」 
 佐野眞一甘粕正彦 乱心の曠野」