miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

知の残り香と、重量

「時間は存在しない」」などの物理の著書で知られ「ループ量子重力理論」の提唱者の一人でもあるカルロ・ロベェッリは、「本を買う時、いつも匂いをかぐ。匂いが決め手になるから・・」と書いていて、共感する。
 閑長は、買う決め手・・、には至らないが、ページの匂いで本の好みが左右される。特に文庫の場合に顕著である。好みは今は懐かしい旺文社文庫。フローラをイメージさせる。もう一つなのが岩波文庫。紙倉庫しか目に浮かばない。他に贔屓目なのは講談社文芸文庫とちくま学術文庫か。
 匂い以上に好みがはっきりしているのが活字で、出版社御用聞きの印刷所の個性が現れるのだが、その話は後日としたい。
 ところで、「ループ量子重力理論」では、素粒子という実体はなく、相互作用の結び目を素粒子と呼んでいるに過ぎない、とされる、ようである。書物、理論、文化という実体的なものはなく、匂いが喚起するイメージだけが実在するとしたら、気が重くなる書架の重量も、ずいぶん軽減される気分になる。

 f:id:miyukie33ok:20211208152224j:plain