miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

美術品

はッ?

能面の図鑑を観ていて、一番、「美女」と思ったのが“ 近江女 ”だった。 どこが現代的だった。大原麗子に似てみえた。恋をあきらめきれない女性の執念を表現した面という。瞳の孔が楕円形で、ほかの女面にはない下歯を覗かせているのが特徴という。ある解説書…

前原冬樹と洞穴の比喩

前原冬樹の木彫一刀掘りの一体作品は、観るものの眼をくぎ付けにする。モチーフとした実物への思いがこみ上げてくる。 これまで、こんなにも実物を見つめたことが無いことに気付かされる。見詰めている間は、作品と実物との境がなくなる思いになる。

火の意図せざる意図

故里の浅間山は、見る角度によって山容が大きく異なる。中軽井沢からと、蓼科方面から見た浅間とは、同じ山には思えない。角度によって姿を変えるのは火山の特長のようである。東北の火山 鳥海山も見る角度で別の山である。 地球の地殻変動でいったん出来上…

マレーヴッチと救世観音

マレーヴィッチの「黒の正方形」の黒地のクラック、ヒビはマレーヴッチが作ったものではなく、制作後に生じたものという。今の状態になったのは作家の没後ではないだろうか。 法隆寺の救世観音を再現する番組があって、飛鳥時代の黄金に輝く姿を映し出した。…

偶然と純粋

芸術の品格の尺度を「制作の純粋性と成果の偶然性」とし「火の神の思し召しである焼き物」をもって「最も品格の高い芸術」と言ったのは、たしかポール・ヴァレリーだった。 その伝でいけば、焼入れをもって完成させる日本刀の品格も同じように称揚されていい…

掌に残るもの

「何事も自分で直接経験してみよという」という謂の「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」という俚諺があるが、茶碗の場合は「持ってみよ」となるのかも知れない。茶道具展であまた並ぶ茶碗からたった一つを選びあぐね、茶を喫するしぐさをしてみて覚った。 …

この君愛おし

大田垣蓮月は知ってはい、画集か何かで書跡も見たが、実物の繊細さと品格に驚いた。蓮月尼の手になる「茶杓」と「添え書き」に出会った所感である。「くれ〇」は何と読むのだろうか、店主に聞くのを失念した。手にすると、こな雪のような軽さだった。「末の…

花札では、もみじの5点が最も美しい。紫と紅とのコントラストが目を奪う。 トランプではスペードのクイーンに魅せられる。やはり悪女は魅惑する。麻雀パイでは、七筒(チーピン)、クラブはピッチング、工具はモンキーレンチ・・美はいたるところに落ちてい…

再現と詩作

彫塑家川村吾蔵のマックアーサー像は、吾蔵の遺作であると共に傑作のひとつと思う。やや持ち上げ心地の右腕で、元帥は突撃指令を出しているのか、軍旗を支えているのか。作品の持つニュアンスは豊かである。 アリストテレスは「詩学」で、模倣の先に詩があり…

年輪を刻んで

「名刀に小疵あり」と云われる。閑長ならこう云い直す。 「伝来あるところ名刀あり、伝来あるところ、疵また生ず」 国宝「石田正宗」

松葉散らしの絵

五線譜に松葉を散らしたような図形は「ビュフォンの針」という数学問題である。 18世紀、博物学者ジョルジュ・ビュフォンが提起した。多数の平行線を引き、そこに針を落すならば、どれかの線と針が交差する確率はどのようになるかという問題で、線の幅と針の…

阿修羅とカラヴァッジョ

有名な阿修羅像、この仏様は、飽きがくる思う。興福寺の阿修羅像の復元番組をみていて、初めて気付いた。 世阿弥の顰にならえば、描き尽くせば伝え尽くす。 阿修羅様、造形が思念を追い越してはならぬのでは・・カラヴァッジョが描く絵は、ドラマチックだが…

写実と唐津と

焼き物はずっと備前贔屓で、五十歳を跨いだころから唐津好きになった。嗜好の変化を深まりとは言えまいが、年輪を重ねたことは事実と思う。 絵の好みは印象派から始まった。直にフォーヴ調に惹かれ、後期印象派、北方ルネサンスと続いた。ネーデルランド絵画…

光悦考

なぜか光悦が好きになれずにいる。勤め人だったころ、僭越にも「光悦はなぜか合わない」と三分間スピーチかなにかでしゃべったことがある。その時、同じ仲間として土門拳しか挙げられなかったが、近頃よんだ陶器に関するの本で、心強い援軍を二人も見出した…

用をなすか、なさぬか

硯は長く使われないと死んでしまう、という。活き返らせるためには、人を雇って日に何度も、水に漬けては出し漬けては出しを繰り返し、それを三年ほど続けなければならぬという。白洲正子は、「茶碗や徳利、壺は、美術館に入るととたんに顔色が悪くなる」と…

眼の楽しみ、心の愉悦

血道をあげて手に入れた美術品でも、手に入れてしまうと頻繁に観ることは少ない。同行の士に尋ねても状況は同じようである。昔、三十六歌仙絵巻の一枚を手に入れたコレクターもNHKの取材に同じ回答をしていた。 では、手に入れなくても良かったかというと…

視界外の視点

マレーヴィチの「黒の正方形」は、80センチ四方の黒い正方形が中央に描かれているだけの、至ってシンプルな作品である。使われている色は、究極の色とされる黒とカンバスの白のみで、黒色の中には無数のひび割れが入っている。この画題らしい対象のない絵に…

成りてなるところ

「鹿の角、狼の牙が自ずから形をなすが如く」 刀工山浦真雄の言であり、刀姿の理想とするところを謳った一文である。真雄が鍛えた刀は、松代藩で行われた刀の荒試しにおいて古今未曾有の成果を上げた。 四歳違いの二人兄弟で、共に鍛刀した経験もある両刀工…