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閑長のひとり言

閑長のひとり言

写実と唐津と

 焼き物はずっと備前贔屓で、五十歳を跨いだころから唐津好きになった。嗜好の変化を深まりとは言えまいが、年輪を重ねたことは事実と思う。

 絵の好みは印象派から始まった。直にフォーヴ調に惹かれ、後期印象派、北方ルネサンスと続いた。ネーデルランド絵画と同じ時期に関心をもったのが写実絵画だった。その頃、写実画への風当たりはマイルドとは言えず、アンチも多かった。実作者も少なかった。今も多分変わらないだろう。
 ワル写実、過度描写、豊穣貧乏の作も少なくはなかろう。だがしかし閑長は、屈せず、めげず、写実画を応援する。絵画に「意」「想」を込めるのも、求めるのも尊い。「奇」の模索も結構である。けれども「写」が捉える実在は、真っ向勝負なだけに誤魔化しがない。

 唐津の良さは、衒いのない、加・減算と無縁の美と思う。変に写実画とこじつける気はないが、老いの初めの嗜好として、なにか通じ合うものを感じている。

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