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閑長のひとり言

閑長のひとり言

掌に残るもの

 「何事も自分で直接経験してみよという」という謂の「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」という俚諺があるが、茶碗の場合は「持ってみよ」となるのかも知れない。茶道具展であまた並ぶ茶碗からたった一つを選びあぐね、茶を喫するしぐさをしてみて覚った。     
 それでどれを選んだかというと、慶入作という赤い茶碗だった。聞けば、幕末の茶碗師で、楽家十一代という。確たる理由もなく永くアンチ楽だった閑長は、不明を恥じる思いだった。楽家16代五百年の年輪の重みを手のひらで知った。柔らかく軽く温かく、持っているのか支えられているのか、境目のないような感触だった。手を翳すと今でもその感触が残っている。

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