映画
カサブランカの「君の瞳に乾杯」のことは以前にも書いたが、映画でボガードが四度も言っていたことには気付かなかった。以前の記事は、三度目の“ 乾杯 ”の事だけ注目して書いた。やはり映画は背中で、ながら・・で観てはいけない。 四度の「乾杯」は、前半の…
映画「追憶」は往還の映画と思う。過去と現在を行き来して、ストーリーを織りなしている。ラストは往還のクライマックスである。大通りを行き来するハーブラ・ストライサンドとロバート・レッとフォードは、時間とお互いの立場を行き来する。 行き来だから、…
数日前にテレビで「たそがれ清兵衛」を流してい、途中から最後まで観た。面白かった。藤沢周平独特の湿度が、随所にみられはしたが。 正直、閑長は藤沢周平作品の高湿度、高粘度が苦手である。時代物ならカラッとした文体の五味康祐、柴田錬三郎、南條範夫を…
眠狂四郎は市川雷蔵か田村正和か。想像を巡らすと楽しい問いである。 外観、雰囲気は五分、声も優劣決しがたい。演技も夫々堂に入ったもの。無想正宗の助太刀が欲しくなる。 だがしかし、柴田錬三郎が意図した眠狂四郎を思い浮かべ、狂四郎を狂四郎たらしめ…
松本清張の短篇「張込み」は何度も映画になっている。不親切を承知であらすじの紹介は割愛させて頂きます。小説では刑事が密会の女さだ子に、 最終バスに乗って家に帰り、何事もなかったように普段の生活に戻るようにすすめて終わる。親切なようで無機質な、…
何度見てもバーグマン、プリンナーの「追想」はよい。ヘレン・ヘイズの「追想」といった方が良いかもしれない。 バーグマン、プリンナーが恋に落ちるところの伏線不足も、夾雑物のない一直線のストーリー展開に役立っているように思えてしまう。先日、BSで…
「エクスペンダブルズⅡ」で新たにメーバーに加わったビリー・"ザ・キッド"・ティモンズが、軍隊を辞めた理由を 「上官の命令で、面倒を見ていた野良犬が殺されたから・・」と語るシーンがあって、チームメイトのヘイル・シーザーの表情が写された。シーザー…
消耗しない輝き 映画「エクスペンダブルズ」(消耗品ども)のラストシーンが、男の友情を描いていてお気に入りである。 謙抑と虚勢、張り合いと譲り合い、自負と自嘲、こもごも相俟って、一篇の短編映画のよう。出演俳優の表情がまたいい。ラストシーンだけ見…
映画「追憶」はホテル前で始まり、同じ場所で終わる。そのあいだ、時代は往き、記憶は往還する。恋ごころは揺れはするけれど、アルバムの写真のように動かない。時代を渡った人と、渡らずに居残った人の物語である。「負け上手」とは、本人が言ったら覚悟で…
今夜から年末番組でゴットファーザーがパートⅢまで連夜放送される。閑長の好きな映画ベスト10へのランクインはもちろん、映画史に残る名画と思う。 生きようとすると殺すことになり、愛することが憎しみや悲しみに繋がる。藻搔くほど逃れられない。この映画…
昨日、BSで「アメリカングラフィティ」を流していて、二年ぶり位に観た。話もセリフもしぐさも判っていたが楽しめた。アメリカの片田舎の高校生の、昼過ぎから翌朝までの出来事を描いていている。翌朝には旅立ちであり、別れの前夜の、成長物語「イニシエイ…
黒澤明「椿三十郎」のラストの決闘シーン、初めて目にしたとき劇的なコマ運びに眼を瞠った。 三船敏郎の椿三十郎と仲代達也の室戸半兵衛が数十センチばかり離れて立ち、双方、ギラリと刀を抜いて切り掛かってと思うや鮮血が吹き上がって、一瞬で勝負は決した…
7751は素数だろうか。一見するに素数に成りすました非素数の顔をしている。 素数一覧表に頼らずに電卓で、3、7、11、13、17、19と割っていって、ようやく23で商が337と表示された。素数ではなかった。経験からするとかなりの難物でも13、17くらいで割り切れ…
オードリー・ヘップバーンとピーター・オトゥールの「おしゃれ泥棒」の冒頭で、オークションでご婦人の抱いた犬の鳴き声をビットとして扱ってしまうシーンがあった。すぐに勘違いを正してオークションは進むのだが、オークショニアの立ち振る舞いが普通すぎ…