憑依の瞬間
「孤狼の血 レベル Ⅱ」の封切りは来週の金曜、その前に書いておきたいことがある。
前作「孤狼の血」のラスト近く、煙草の煙を吐き出しつつ日岡刑事が「あぁ、吸うとったわ」と呟くシーンがある。ライターは大上刑事の遺品である。大上の“狼”が日岡に乗り移ってい、“豹”になって「いる」との寓意である。
このシーン、乗り移ったのが過去完了ではインパクトが弱い。女の「タバコ吸うとったん?」の問いに「いや・・」と応えて、ライターで火を点ける。焔以上の眼差しをギラリとさせる。この瞬間に大上が憑依する。無論、松坂桃李には本作一番の芝居が求められる。
これで観衆の心と網膜に焼き付けられる。名画と言っても永く印象に残るのは、一シーンである。
柚木さん、如何ですか?