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閑長のひとり言

閑長のひとり言

もしかして・・・

 源氏物語に登場する六条御息所の生霊を描いた上村松園の「焔」(ほのお)は、同氏の代表作の一つとして東京国立博物館に所蔵されている。絵には、蜘蛛の巣の柄の着物をまとった六条御息所が、長い黒髪を口に咥え、恨めしそうに振り向く姿が描かれている。背景は一色で薄暗く塗られ、足元は朧に霞んでいる。
 閑長はこの絵の“ 頂点を超えた過剰感 ”から、以前から好感を持てずにいた。アレ、もしかしてこの絵って・・が象徴芸術たる絵画のの本旨だからである。同調者はいないと諦めていたのだが、偶々読んでいた若桑みどりの「女性画家列伝」の上村松園の段に、 “ 情あまって作品としてはあまりいただけない ” と本作を評する一文をみかけ、僭越ながら戦友に出会った思いがした。

 泉下の松園画伯も案外、相槌を打ってくれるのではないか、今ではそんな妄想を抱いている。