miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

予行演習

 終活で物の処分に取り掛かっているが進まない。執着を断ち切れない。
 モノを売る、処分する、捨てるという事は小さな死のイメージである。
 ヘッセにに「Alle Tode (すべての死)」という詩があって若いころに読んだのだが、
 いつの間にか記憶が変容してい、「Kleine Tode (小さな死)」と記憶していた。

“私はあらゆる小さな死を死んだ”
“私は有りとあらゆる死を死んだ” が原文である。

数学的にしみじみと考えてみるまでもなく、同じ意味と思う。
先日、替え歌した無法松二番は、自分への挽歌に思えてくる。

断てぬ思いは 玄界灘
波涛に流して 祇園の太鼓
夢よ砕けよ 乱れ打ち

実砲と銃口と

 ネットで将棋の渡辺-藤井の王将戦第一戦の41手目が話題となっている。藤井挑戦者の▲8六歩があまりに意外で、渡辺王将が91分も長考したというのである。ネットには続けて、もし若手がこの手を指したなら、直ちに破門になりかねない悪手、とプロ棋士がコメントしていた。
 いまの今、第一戦の二日目が展開されており、▲8六歩の成否も評価も現時点では不明である。もちろん勝負の行方も判らない。しかし誰もが首をかしげる意外な一手が、相手がある勝負事でもし勝敗を決するなら、盤上は完全に挑戦者の掌中にあったと言えるかもしれない。少なくとも、タイトル保持者を一手で一時間半も長考させる存在になっているということは確かで、藤井四冠は、実力に加え威圧まで備えた棋士になっているといえるだろう。

滅びないもの

 英国のセントアンドリュースの名はゴルフ場と大学で聞き知っていたが、ヨーロッパの教会を紹介するBS番組で、今は廃墟となっているセントアンドリュース聖堂の映像が流れ、閑長のような心なき身にも荘厳さが知られた。
 セントアンドリュース聖堂はかつてカトリックの中心地だったが、ヘンリー8世からエリザベス1世に続く宗教改革によって略奪、破壊されたという。屹立する孤高の塔は、ごく自然に超越的な存在を思わせた。
 自然に湧き上がる心が宗教であるという、ごく当たり前のことが身に沁みてわかった。

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少年と「生死」

 俳人永田耕衣の「少年や 六十年後の 春の如し」は好きな一句である。はじめて読んだ時には60年後に回春の若返りをはたす句と思ったが、今は60年経て進歩も老成もない身を自嘲するようにも読める。正しい読み方かどうかは判らないが、六十を超えてようやくたどり着いた閑長の句境はこの程度である。その耕衣に「生死」という句集がある。生死の所感、こればかりは蘇りでもしない限り記すことが出来ない。

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砕けよ未練

突然かつ勝手ながら「無法松の一生」主題歌の二番を替え歌してみた。

  泣くな未練だ 男じゃないか
  所詮通じぬ 恋のみち
  断てぬ思いは 玄界灘
  波涛(なみ)に流して 祇園の太鼓
  夢よ砕けよ 乱れ打ち

 本歌は下記のとおりである。女男(めおと)波は、左右から波が寄り添うように重なり合う合う波を言うそうだが、無法の松と、よし子夫人との関係にそぐわない気がし割愛した。

  泣くな 嘆くな 男じゃないか
  どうせ実らぬ 恋じゃもの
  愚痴や未練は 玄界灘
  捨てて太鼓の 乱れ打ち
  夢も通えよ 女男波

昭和も遠く・・

 NHKの「ためしてガッテン」の放送が終了すると聞いて久々に視聴し、昭和のテンポでありスピードと感じた。
 「問い」の時間が長く、解答までの「寄り路」と「間」が長い。
 スマホだったらコンマ一秒のやり取りに十何分も掛かっている。
 老舗番組ではあるが、倒木更新の対象となるのは、時流の流れと思った。
 装いと趣向を変えて、令和30年、あるいは明成30年のリバイバルを期したい。
 
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中国信奉を一旦置いて

 邪馬台国探しの源流は、いうまでもなく三国志 魏志倭人伝であって、更に遡れば“中国信奉”と思う。
 司馬遷史記」には及ばないが、カノ中国の古代書物に俺っちのことが書いてある、ナニナニ、邪馬台国卑弥呼・・? それは何処だ、誰だ?・・が取っ掛かりと思う。
 21世紀、令和の今日、魏志倭人伝は一旦措こう。
 三世紀の日本をサラ目で眺め、虚心坦懐にその豊穣と多様性を探り、確認し、太古の日本の様子を知ろう。
 こういう動機の方が、予見と先入観と邪念に妨げられずに良い歴史研究が出来ようというものだろう。
 その過程で巨大遺跡や墳墓が発見され、偶々それが邪馬台国卑弥呼に措定されるなら、急がば回れ、というものだ。
 もちろん、邪馬台国論議のワクワク感、ゾクゾク感を否定するものではないだけれど・・。

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