miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

笑いに型なし

 「悲劇の最大要素は必然性・・」とは、確か福永武彦の言葉だったと記憶する。隕石の衝突で北半球の全人口が死亡したら大惨劇だが、隕石到来は偶然の出来事で必然性がなく、ドラマとしての悲劇性はない。
 その伝で云って、任侠物の最大要素は「義理」、ヤクザ物は「理不尽」、ラブロマンスは「別離」と思う。
 さてタイトルの「笑い」でいうと、以前「新世紀味に令和風味・・」として、そのパターンを「とぼけ」「ぼけ」「つっこみ」「おとし」「間」それに「あわて」として投稿した。軽く六要素もある。要するに笑いのすそ野は広く、最大要素を絞り込むのは難しい。パターンに乗って笑わすことができない。「観客を泣かせるのは簡単だか、笑わせるのは難しい・・」ある舞台のベテランの言葉が思い出される。

あり在りとあり、只ただ生きる

 シャルダンの描く静物画を評して放送大学青山昌文先生は「背後にある生活までも判る」としている。
 閑長のなものが不遜であるが、同感である。
 しかしあくまで観者の目線であって、シャルダンの作画意図の忖度としては行き過ぎと思う。
 シャルダンは、満ちみちてある存在をただ描いたのだと思う。

 金閣寺焼失を採り上げたNHKの番組で、僧侶で作家の玄侑宗久がインタビューに応え、
「近頃は生きる意味を探し、生き甲斐をでっちあげている」と言ったが感心した。生まれてきたから、生きるの
だ、とも言っていて、これにも共感した。とてもできそうにないのだが。

 在るからあり、生きているから生きる、というのは傍から見ると実にうつくしい。

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必然と喪失

正月特番の「芸能人格付けチェック」を観てマンネリ化したと思った。
YOSHIKI」要素だけがわずかに見所だった。
視聴者が共体験できない味覚系の問題は詰まらない。
正解・不正解それぞれの理由が納得できないと見る価値がない。
なぜ、どうしてコッチ、コレなのか。
不正解でも何も失わない回答者の答えは、正解でも不正解でも面白くない。
外してウケるならいいが、外しをウリにする出場者は頂けない。

大谷翔平にはフォン・ノイマン

 大リーガー大谷翔平選手はミラクルでもアン・ビリーバブルでも言い足りない。大谷選手に比肩し得る存在は、知る限りでは物理と数学の巨人、ジョニーの愛称で知られるジョン・フォン・ノイマン博士だけと思う。ノイマンは多くの天才ノーベル賞受賞者が「彼こそが天才」「宇宙人なのでは・・?」と絶賛する異次元の存在である。
 二人に共通するのは、仕事を楽しんでいる点であり、ヒョウキン者である点である。今で言うと場の空気を読んで周囲を和ませた。
 そんな二人は愛称で呼ぶのが似つかわしい。ノイマンがジョニーと呼ばれたように、大谷選手はShochanでいいかもしれない。

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今年の締めは

 チャンポンで酒を飲むと悪酔いするといわれる。アルコール摂取量が足し算式に多くなることを戒めたものという。ドイツでは「ウイスキーの後にビールを飲むな」と戒められるらしい。酔った後だと、飲みやすい酒が余計飲みやすいからだろう。その状況はよくわかる。
 閑長はそれでも最後にビールを飲むのが好きである。コップに半分ほど残った生温かいビールをグゥーと呷ると、サテ、これでお仕舞い、という気持ちになる。 今年もそのように締めるだろうし、人生もそのように締めたいと思う。

対偶と邪馬台国論争

 年末特番で、数年前に放送された「邪馬台国論争」が流されていた。「邪馬台国サミット2021」という番組名だった。いわゆる大和説と北九州説の比較と応酬である。
 邪馬台国論争は、「邪馬台国」と彫り込まれた石柱の出土とか、棺に卑弥呼と記されたご遺体の発掘がなければ決着しないだろう。つまり、論争は今後も続く。
 「邪馬台国論争」は自然科学並みの証明は困難である。と、すると、自説の論建て以外に相手説の検証が不可欠となる。イメージとしては論理学でいう対偶の証明である。(本当の対偶とは違う事は承知しています・・)
 要するに丁々発止があってよい。足の引っ張り合いでは醜いが。

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続・オーヘンリー短編集またはオーヘンリー後日談集

 オーヘンリーの短篇は、“続き”を想像させる。

 「賢者の贈り物」
   数年して関係が冷えた二人が別れ、時計を送ってくれる女性とショートカット好みの男性を探し求める。
   ⇒ない物ねだりはない物探し・・
 
 「赤い酋長の身代金」
   成長した「赤い酋長」が強盗団に再会し、“厄介払い”の報酬を求める強請り方を伝授する。
   ⇒弱をみせずに弱みを突け!

 「よみがえった改心」
   自信が蘇った金庫破りが緊急時の金庫開錠屋を開業するが、行き詰まって金庫破りに戻り、捕らわれる。
   ⇒人生、所詮回り道。 

 「魔女のパン」
   後になって女の気持ちを理解した設計士が、謝罪と感謝に再びパン屋を訪れると、女は以前に増して思い込みの世界にのめり込んでしまう。
   ⇒もと来た道は、又往く途

 「自動車を待つ間」
   十数年が経過して、本当の身分が逆転した二人が再会、十数年前のお互いの嘘を暴き合う。
   ⇒ネタバレに要した歳月。

  結局、オーヘンリー作品が滋味に満ち、余韻を残すということだろうか。