miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

好きこそ偉業の

 大谷翔平の二刀流での活躍と藤井聡太の四冠達成は、コロナの閉塞感を晴らしてくれた。
大谷選手は賞の受賞よりも「大谷賞」の創設の方が相応しく、藤井棋士にはワールドリーグへの地歩作りを望みたい。このことは既に書いた。
 お二人とも、斯業をなによりも好きで続け、上手く強くなることを無上の喜びとしている。求道という言葉があるけれど、21世紀には“好道”という新語ができてもいいかもしれない。
 

青い空、茶の大地

 シュールの前衛画家といわれる古沢岩美は、「日本のダリ」と称されたという。偶々観ていた古沢岩美のエッセイ集に書いてあった。画題とモチーフ、それにド肝を抜く描きっぷりが似ているという。
 「日本のダリ」といえば、岸田劉生の「道路と土手と塀」(切通之写生)とダリの絵の共通性を指摘した文章を、以前どこかで読んだ。確かに空の青さと土の茶色は両者共通である。読んだのは本格的な論稿というより、サラリとした一文だったが、もっと進めて「デロリの美」まで通底してはいまいか。ダリの有名な「記憶の固執」や「大自慰者」などを観ているとそう思われてくる。劉生の方がダリより十歳以上年長である。ダリを「スペインの劉生」とするのは行き過ぎとして、イメージでは劉生が先行している。

絵画と時間

 社会学者のゲオルグジンメルは、廃墟を“人間と自然との合作”と言ったらしい。テレビで観た放送大学の受け売りである。
 ジンメルの顰に倣えば、額装の絵画は画家と額職人との合作と言えるのかもしれない。
 「ひととき」は態々Worn-outした額と交換して、“ ひととき ”のイメージを完成させた。それももう4年も前の 
ことになる。
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 東沢亜人「ひととき」

ファストかフィストか

 ファスト映画の制作者が著作権法違反で有罪判決を受けたが、「ファスト」自体は令和・21世紀の方向だと思う。著作権者自身がファスト版を作って提供すれば良いではないか。盗用ではなく、強制でもなく視聴者がオリジナルとファストを選択できるシステムの事を言っている。以前からハウツー番組や健康番組を観てはそう思ってきたし、この「はてなブログ」でも記事にしたことがあるが、早い者勝ちと思う。要点ダイジェストにもなり、番組のパンチ力と発信力が高まるのではないか。長寿番組の「試してガッテン」さんなどが先鞭をつけたら如何だろうか。

政策のお勘定は・・

 経済対策も少子化対策、エネルギー対策も、全て国の施策には財政の支出が前提になるが、お金を使う以上、一定の効果は上がって当然である。その効果の理想的な現れ方は税収が増える事以下にない。税収増に直結しない、つまり税収の減少幅が減るとか歳出が減るとかいう効果だけでは、財政支出の当の支出金額までも“ 稼ぎ出す ”ことはできない。リアルなキャッシュ・アウトを埋められるのは現ナマのキャッシュ・インしかない。
 ところで国債発行残高をみると、趨勢的に増加しており、減少に転じる気配は全くない。してみると、過去の〇〇対策、△△対策は、総体でみて、グロスで振り返って総括すると、お金を使った以上の効果は無かった・・とはいえまいか。繰り返すがお金を使う以上、一定の効果は上がって当然である。使ったお金、つまり当の支出金額までも稼ぎ出してこそ“ 効果あり ”と言えるのだから。

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 コロナ対策無用・・の立場では断じてありません。

フリーア、全集、舞台裏

 アメリカのフリーア美術館は東洋美術の名品で知られている。閑長がフリーア美術館が好きなのは、名品は名品でも、第一級の作品以外の、基準作以外の名品も収蔵されているところである。準一級の名品に出会えるのである。 
 読書でよく「全集を読め」という。小林秀雄トルストイを勧めた。老練な作家は本音を書かない。代表作は、含蓄は豊富でも、露出は限定される。“しまった“と後で思うような足場や舞台裏は失敗作に埋設されている。加えて全集では日記と書簡も読め、作家の素顔がわかる。
 会心作のメッセージは本源的で骨太でも、その意味を真に汲み取るには横顔も観てみたい。

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 フリーア美術館

 

キャバス、本紙の裏っ側

 美術評論家安井収蔵の著作を読んで、以前読んだ黒川博行の「蒼煌」を思い出した。芸術院会員選の人間模様を描いている。絵画でも音楽でも芸能でも、絶対的な基準のない世界は、忖度や気配り、追従と迎合と無縁ではないのだろう。それが行き過ぎることもないではないのだろう。芸術作品を世界認識と自己実現、崇高と信念でばかり鑑賞しては見尽くせない。
 ある絵画コレクターが、”30年コレクションして、価格上下の法則を発見した。値上がりするのは、独立独歩の画家ばかりで、会派に所属していた画家の絵は値上がりしない・・”と語った言葉がフト思い起こされる。