アメリカのフリーア美術館は東洋美術の名品で知られている。閑長がフリーア美術館が好きなのは、名品は名品でも、第一級の作品以外の、基準作以外の名品も収蔵されているところである。準一級の名品に出会えるのである。
読書でよく「全集を読め」という。小林秀雄はトルストイを勧めた。老練な作家は本音を書かない。代表作は、含蓄は豊富でも、露出は限定される。“しまった“と後で思うような足場や舞台裏は失敗作に埋設されている。加えて全集では日記と書簡も読め、作家の素顔がわかる。
会心作のメッセージは本源的で骨太でも、その意味を真に汲み取るには横顔も観てみたい。
フリーア美術館