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閑長のひとり言

閑長のひとり言

南海の怪獣

 上田閑照西田幾多郎の著作の難解さを「何ページにもわたって一行も理解できないことがある」と書いている。上田自身、岩波で全11巻の著作集を刊行している哲学者である。
 西田の弟子が難解で解らないので解説書を書いてほしいと頼んだが、出来てきた本は、同じくらい難解な別の著作だったという。よく言われるように、西田の著作は西田語で書かれている。
 けれども哲学者の哲学書ならば未だしも、である。これが・・

 好みから美術書や展覧会図録の解説を読むことが多い。年表を文章に起し直し、打ち明け話を付け加えたスタイルが多い。なかに、というか、しばしば「文章は意味を伝えるもの、その基本を大切にしてほしい」と訴えたくなるほど難しい解説に出くわす。閑長が閑に任せて数回読んでも、意味が塊とはならず、論が続いていかない。そんな解説もある。

  言辞ばかりで、結論が見当たらない
  自問自答ならばよし、自問したまま放置しないでほしい
  自説、立論には理由が欲しい
  是非とも意味のある脱線を!
  問い直す、提起するなら、問題はこれ、持論はこうこう、と書いてくださいよ
  「そこには」の「そこ」ってどこ? 指示語句で誤魔化さないでね

 現象学の祖フッサールは、弟子たちにいつも具体例を求め、「コインにくずせない紙幣は贋金だ」といったという。
 高尚・深遠ならばよし、晦渋な文章と難解な用語でカモフラージュなんかしてませんよね。
 もっと簡単に短く書けないものですか?
 斉々とした明瞭なご論考を読ませてほしい。

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