miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

マレーヴッチを回してみたら

 カンディンスキーは、マネの逆さまに置かれた「積み藁」で啓示を受け、自身の抽象絵画の世界を開拓したという。その逸話に唆されたわけではないが、マレーヴッチの絵を回転させてみて驚いた。90度、180度、270度のそれぞれで作品のメッセージが変わるのである。作品は「黒の正方形」だった。
 まさに絵画の万華鏡であり、具象画では味わえない体験だった。画家は「回転鑑賞」を承知で制作したのだろうか。「抽象美術の頂点を極めたのは自分だ」と嘯いたマレーヴッチであるが。

 有名な写真誌で、能面を左右逆に印刷して表紙にした失敗例がある。ある人は、見知りの小面がいつもと違って見えて気付いたという。陰が陽に、恨が恕に変わったイメージだったという。昭和の終り頃の話である。

 回転と折り返し。芸術作品の味わい方は多様で、そのポテンシャルは広くて深い。

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