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閑長のひとり言

閑長のひとり言

純粋睡眠批判

 勤め始めた頃の職場のアンケートで「朝10時まで寝ていたい」と答えたことがあった。“今、一番、何をしたいか”というような質問だった。-今朝というには早すぎる深夜一時半に目覚めてしきまってい、眠りについて考えた。

 シェークスピアマクベスで、魔女に唆されて王を殺したマクベスは、「もう眠りはないぞ お前は眠りを殺してしまったのだ」という声を聞く。安息と休養が去って、緊張と覚醒が謀叛者を襲ったのだ。反語に満ちたこの作品にあって、直接的な表現は印象が弥増す。マクベスの行動はその後、破滅に向かって激化する。

 ボードレールの「悪の華」に“獣の眠りをねむれ”という一文がある。本能のままに貪る眠り。引き込まれるような魅力がある。だが、詩のタイトルは「虚無の味」である。詩人は救いを示唆するようにみせて、寸でのところで身を翻している。

 岡田隆彦の詩画集に「植物の睡眠」がある。柄澤齊が小口木版を添えている。植物の睡眠は自我と意思の介在しない全身全霊的な眠りである。

 あれこれ思いを巡らし、眠ろうという意欲を忘れ始めた三時過ぎに二度寝に入り、目覚めたら五時だった。

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