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閑長のひとり言

閑長のひとり言

数の召命

 ゴットフレイ・ハロルド・ハーディは20世紀初頭のケンブリッジの数学者で、閑長の贔屓である。電話や時計嫌いのところに惹かれてします。彼の自伝的著書はもちろん、解りもしないのシュプリンガーの数論の著作二冊を架蔵している。
 そのG.H.ハーディが数学者として点数をつけるとすれば100点満点としているのが、インドの大天才ラマヌジャンで、直感的、天才的な閃きで数論の定理を発見し、「魔術師」と呼ばれている。詳細は割愛するが、「1729」という数字を聞いたラマヌジャンが、「2通りの2つの立方数の和で表せる最小の数(1729 = 123 + 13 = 103 + 93 )」と即答したというエピソードが残る。閑長が驚くのは、「2通りの2つの立方数の和で表せる」という部分でなく、「最小の数」と判定したという点である。兎も角、驚異的な数覚を持っていた。
 けれどもラマヌジャン、数学の専門教育を受けていなかったため「証明」という概念を持っていなかった。閃いた「定理」は、寝ている間にナーマギリ女神が教えてくれた、などとしていたという。
 閑長は、ラマヌジャンが証明しなかったのは、教育云々の結果ではなく、証明の必要を感じなかったからと思う。数字の語り掛けを聞いて、書いたからだと思っている。唐突であるが、さながら神の子イエスによるマタイの召命のように、前触れも前提もなく、降りかかってきた、に近いように思う。証明は人の業、直観は数の導き、なのである。

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 シュリニヴァーサ・アイヤンガル・ラマヌジャン ネット収集画像