miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

展覧会

ぼつ、ぼつ・・

以前、没後50年の画家さんの展覧会を企画・開催したことがあった。死後に作品を遺したアーチィストは、死して尚、世間に訴える手立てを持っている。展覧会を準備しつつ、“ 何時また再評価されないとも限らない、画家さん、安気に眠ってはいられませんヨ ”・…

色つきの手紙、香り付きの音信

普段はラインかメールでやり取りする先が、ときに書簡を送ってくることがある。展覧会の招待券が同封されていることもある。春三月、先だっては上野の森美術館のVOCA展と三越の春の院展が届いて、嬉しかった。電子文字で伝えられることでも、手書きの文字は…

絵筆と身体バランス   

長野とゆかりの深い石井鶴三は、相撲好きとして知られ、観るのも取るのも大好きで「相撲は絵の勉強になる」と門下と相撲を取っていた。鶴三の相撲の絵や、相撲を取っている写真も残っている。 鶴三というと「ものの形をかりてその中に線の美を立体的に構成す…

見えない実在

今春、ギャラリー82で予定された第四回メタモルフォーシス展は、コロナの影響で一年延期となった。三年越しに準備しただけに、在任中に開催できないショックは小さくなかった。入場者は一人にするとの条件での開催も、結局容れられなかった。 メタモルフォー…

孤舟の逆接

蘆花浅水 釣りをやめ、帰り来たりて船をつながず。江村、月落ちて、正に眠るにたえたり。たとい一夜、風吹き去るとも、ただ蘆花浅水(ろかせんすい)のほとりに在らん。 釣りを止めにして戻ってきたが、船を岸辺につなぐのを忘れてしまった。川辺の村に月も…

閑長の出会い

「小山利枝子 若麻績敏隆二人展」、利枝子さんの絵は柔らかくしなやかで 強靭な求心性と発散力に抱き留められる感じだった。 若麻績さんの作は、静謐な存在と手堅い時間が流れる印象をもった。共通なのは優しく強いこと。芸術とは密になれる。美と密になれる…

閑長、本日の出会い

モーツアルトは、作曲した曲の「音符が多すぎる」との指摘に対し、「どの音符が多いのか、言ってみて欲しい」と気色ばんだという。ポアンカレ予想を証明したロシアの数学者ペレルマンは、「証明が短すぎる。もっと詳しい説明を」という同僚の要求に、必要以…

同時にみえない

眼に触れない背面までも入念に制作する彫刻家がいて、ひとに「誰も見ないのでは」と指摘されると、「神が見ている」と応えたという。そんなエピソードをどこかで読んだ。ルネサンスの彫刻家だったと記憶する。神様ならば、眼に触れない背後も見れるだろうし…

触覚と視覚の交錯

ポルシェの技術者は、ボディの凹凸を手で触れて補正するという。 造形作家の丸山雅秋は作品を目で触ってほしいと語る。 手で、眼で、五感で感じる作品は永く深く語りかける。 丸山雅秋「存在-関係」

制約の効用 - 丸山雅秋展をみて

「ブロンズや石膏という扱いにくい素材を使って不自由をあえて課し、本質的なものだけを表現する」 お能の女形と装束、動作を譬えに引いた造形作家丸山雅秋の言葉が印象的だった。徒然草の「よき細工は、少しにぶき刀をつかふといふ 妙観が刀はいたくたたず…