窓と窓の向う側
早逝の洋画家小松良和の作品には “ 片身代り ” 的『構造』がみえる。画家が片身代りで表現したものは、不可視的なもの、あるいは存在と隣り合う非在的なものへの憧憬と思う。本稿では、昨日のフェイスブックでは書き尽くせなかった印象を書きたい。
画家の描く片身代りは多軸である。線や点、面で対象をなしている。
形態が自転したり、回転に身を任せたりする。
反転、再反転がある。回転完了も、回転途中もある。
動きの一瞬を捉え、画家は思考し、造形する。
フェイスブックでは片身代りで、プラスとマイナス、陰と陽、此岸と彼岸、等々を表現していると書いたが、特に此岸と彼岸の対比がこの画家には親しむ。
彼岸、つまり別界、異界への回転窓が小松作品のエートスと思う。
安曇野豊科近代美術館 「シンビズムⅣ 小松良和」より