miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

過ぎたるも尚・・

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 上村松園重要文化財の作品はいくつあったろうか。確か二点と記憶する。三点目の最右翼が、「葵の上」に想を得て源氏物語六条御息所の生霊を描く「焔」という。美人画の松園の中では異色で、髪を噛んで振り返る青い顔に、嫉妬に翻弄される姿が現われ,白地の着物に藤の花にからむ蜘蛛の巣が描かれ,執拗な怨念を暗示している、という。
 この絵は頂点を超えている、が閑長の見立てである。良い意味ではない。モチーフ、図柄、含蓄のいずれも過剰で、描き過ぎ、語り過ぎている。もし今、幽明の松園画伯に尋ねたら、苦笑しつつも同意してくれるのでは、と思われる。しかし、過剰・過大・深すぎ、込め過ぎがゆえに、かえって愛おしく思われる、そういうことはあるにはある。