miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

快著の快刀乱麻

 院展画家の特徴であり、落し穴でもある傾向が、ずっと謎だった。謎をかけたのは針生一郎「愛憎の画家たち」である。答えまで書いてくれればよいのに、謎だけかけて放って置かれた。

 小林秀雄の玉堂評が気になっていた。曰く「画技に豊かなものがないから、含蓄がありそうでない。酒を呑み琴を弾きながらどこかにいってしまった人」小林は終生、そう思い続けたのだろうか。川端旧蔵の「凍雲櫛雪図」を観ながらずっとそう思っていた。

 東山魁夷の絵は、観る人が歩いて入っていける。魁夷の額は、人を隔てる境界でなく、入って行ける入り口である。それが魁夷作品の大衆性になっている。それを閑長は「骨がない」と感じたのだ。

 積年の疑問に答え、あらたな問いを抱かせる書に近頃、出会った。書名は、「日本画の内景ー現代日本画論」、著者は桑原住雄である。但し認められたのは、昭和の中頃である。

  f:id:miyukie33ok:20210309111916j:plain