miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

暴君の次に来るもの

 NHKの100分で名著というシリーズ番組で、ボーボォワールの「老い」を解説していた。第3回では「老人と性」が採り上げられ、講師の上野千鶴子東大名誉教授が、「女の子宮は社会の物」「老人の性のタブー視は所属社会と、自己の思い込みの産物」等々、気炎を吐いていた。
 性と年齢と聞くと、プラトン「国家」の冒頭部分、「君はまだ女を抱くかねと・・」と尋ねられプラトンが、「性欲という暴君(タイラント)からようやく最近逃れることができた」と返す部分である。性欲を国家にとっての最大の敵に譬えるこのセンテンスの、西洋文明への影響は、実に多大である。数百年にわたって人々のマインドに、性欲を克服または手懐けるべき対象と印象付けた。
 だが若者にとって愛おしきタイラントが、老齢に至ってフェローとなれば、余生のよき伴走者ともなる。そんな思いに駆られるのも、自分が老齢に達した証左であろうか。明日も続けて書きたい。

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