miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

ふたり静か

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 色に魅せられる、という絵は少なくないが、魅せられた色が絵の中の一色という珍しい例が、映像の上村松園の掛け軸である。美術品バラエティ番組で紹介され、録画を漏らしたので、再放送を約一か月に亘って「張って」ようやく再び巡り合えた。左側の母親と思しき女性の着物の色に惚れ込んだ。日本の伝統色でいう紫「二人静」であろうか。暗く渋い紅紫色である。もともと「二人静」は能の演目で、「静」は源義経の愛妾「静御前」という。
 松園が色名を知って使ったとしたら、心憎い色使いであり、こころ遣いである。画題と合うばかりか、観者とお軸、松園さんとの時間も象徴するかのようである。