miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

小さな、永遠の死

Alle Tode

Alle Tode bin ich schon gestorben,
Alle Tode will ich wieder sterben,

私はすでにありとあらゆる死を死んだ。
これからもまた一切の死を死ぬだろう。

ヘルマン・ヘッセの詩「あらゆる死」の冒頭部分である。 
閑長の好きな詩で、ときおり、心の中で反復・復唱してきた。
長い歳月のなかで“あらゆる”を“小さな”と思い違いをしていた。自己流に読み替えていたのである。この改訳を、閑長はとても気に入っている。小さな死が続く。この記事の投稿を終えれば、小さな死である。

詩は、東洋の輪廻を思わせる詩文で終わっている。ここは不満で、死は終りの永遠でいいと思っている。誕生というと、イヤに使命が重たく感じられる。

Oft noch und oftmals wieder
Wirst du mich jagen von Tod zu Geburt
Der Gestaltungen schmerzvolle Bahn,
Der Gestaltungen herrliche Bahn.

これからもしばしば、また幾たびか、
お前は形成の苦悩にみちた道を、
形成の燦さんたる道を、
死から誕生へと私を駆り立てることだろう。

訳は尾崎喜八、山の詩人である。

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