miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

交歓の卵

 太宰作品で何遍も再読しているのが「親友交歓」。理屈抜きで面白い。作家として売れ始めた太宰が、突然訪ねてきた自称同級生に秘蔵の酒を呑み尽くされ、最後にはド突かれてしまう。

 三島由紀夫では「卵」。学生運動を茶化した戯画的作品であるが、三島自身、「純粋なばからしさの高みに達した稀有な作品」としている。最後の場面など、頭の中で映像化してしまった。

 発行年的にお互いそれぞれの作品を読んでいて不思議はないし、読んでいたと思う。不仲をいわれる二人だが、相通ずる軽妙さもあるのだ。
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所載の文庫本