中国数千年の多様性
荊関、薫巨に李成・范寛・郭煕など、巨人犇めく中国絵画の流れの中で、呉昌碩に斉白石、張大千ら、近現代画家の作をみるにつけ、能品、妙品、神品、逸品に、"商品”カテゴリーを新設すべきとの思いに駆られる。
ある美術史家は中国の宋元画はイタリアルネサンスに比肩さるべき、と語ったという。同感である。その中国絵画界にあって、近現代のこの傾向は、世俗化、凋落云々ではなく、元来具有していた斯界の傾向に気付かせる。つまり、産まれながらの用命性を持っていたのではなかったか、と。
それでもルネサンスに並び立つ芸術性が損なわれることはなかろう。芸術性・精神性と経済性・用命性を対立的・排他的に位置づけることの限界が見える。だから、呉昌碩に斉白石、張大千らの絵が良いと言う訳ではない。よいものはよく、いけないものはいけないのである。