共同作業としての芸道
毎週みている「目撃ニッポン」という番組が、今回は二つ目の落語家 林家つる子を紹介していた。つる子は伝統の演目「芝浜」を、現代の女性目線で新解釈している。高座は、涙ながらの熱演である。話のアレンジでは、女房お千の勧める酒を旦那勝五郎が「よそう。また夢になるといけねえ」と杯を置く場面を、反対に勝五郎の勧める酒をお千が「よしとくわ、夢だとイヤだから」と返すラストとしていた。
意気やよし、生きもよし。
とうしろうの閑長ながら心からのエールを送りたい。
ラストの変更で、フニッシュが大笑から微笑に変わった。
満点ではない。間もタメも手付きも未熟である。
毎度まいど感涙していては客に失礼である。
けれども、客に、足らん、アアせい、コウせい、と思わせて、芸が出来上がるという場面に立ち会う思いだった。落語もイノベーションが始まった、ト思った。
(女房お千の命名は、閑長の勝手名付けです)