ポーズと生き様
ボクシングではダウンしたまま10カウントを数えられるとKO負けとなる。10カウント以内に立ち上がるだけでは不十分で、ファイテング・ポーズ、つまりボクシングの構えを取る必要がある。
日本ボクシング往年の名選手ピストン堀口の死因は、轢死である。酔っぱらって線路を歩いて帰る途中、列車に撥ねられた。撥ねられる直前、列車に向かってファイティング・ボーズを取ったという。享年36。
ウィルフレド・ベニテスはボクシング3階級制覇の名王者である。今はパンチドランカーとなって、満足に歩けず、自分の名も言えない。そのベニテスがあるボクサーの葬儀に立ち会ったとき、介助なしで立ち上がって、ファイティング・ボーズを取って旧友を見送ったという。現在63。
ポーズは時に生き様を現し、精神を鼓舞する。