miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

記憶の人となり

 いまは今朝の事すら忘れてしまうが、学生時代は記憶力に自信があった。世界史用語集の年号を全て暗記して悦に入っていた。それとて所詮は井の中の蛙で、記憶力がいい・・というのは、中学生ならば教科書に載った芥川龍之介の「杜子春」を自然に覚えてしまうレベル、高校なら中島敦の「山月記」が何気なく頭に入ってしまう脳力を云う、と思う。「今でしょ」で売り出した予備校の先生は多分、「山月記」をスラスラ暗唱できると思う。聞いてみた訳ではないが。
 記憶の良しあしは生得のモノだが、自分とはいった何か、と考えると、自己のアイデンティはその記憶以外にないと思う。自分と同じ記憶を持った人間は自分以外にあり得ないが、もしそんな人間が存在したとしたら、それはもう、もう一人の自分なのである。
 それにしても、肝心かなめのその記憶が、段々と朧になっているのは、己の存在自体が儚くなっているようで、情けないが、致し方なくも思う。