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閑長のひとり言

閑長のひとり言

いにしえも・・

 東京での学生時代にテレビでドラマ「万葉の娘たち」を観た。
 ちょうど今時分の季節、期末試験の最中の放送だった。
 各45分の四回ものだった。
 『ドラマ 詳細データ』によると、「古都奈良を舞台に少し古風な四人の仲良し女子大生が、陶芸教室の女性講師の入水自殺の謎を、別々に解いてみせるオムニバス構成のドラマ」あるが、謂い尽くしていない。
 古風ではない。風俗で働く娘もいる、親の命に逆らって自分の道を選ぶ娘もいる。
 仲良しばかりではない。高校の同級もいれば、名前を聞き知った程度の学友同志もいる。
 自殺の謎を、別々に解いてみせる、のではない。卒業間近の波風の中で、自裁の意味が分かり始めるのである。
 NHKの「ドラマ人間模様」の一つだった。見所は、同じで出来事が四人それぞれにとり、それぞれの意味をもって降りかかるところだろうか。バルザックの「人間喜劇」のように登場人物が再登場するのだが、別の放送回で、深刻に悩んでいた娘が、別の回では何気なく普段通りに現れ、すれ違っていくのである。「ドラマ人間通り」と言い換えてもいいと思う。
 40年前の事なのだか、今なお、人間ドラマとしては最高の出来と思っている。
 近頃、妙に懐かしくなって市川森一の原作を読み、嘆息した。テーマ曲が鮫島有美子の「平城山」であることを知り、You Tubeで視聴して、懐かしんだ。
 続いて放送の吉永小百合の「夢千代日記」は再放送されたのだが、本作の再放送はない。あの会話に表情、ストーリー展開は、今も閑長の思い出に刻まれている。
 
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