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閑長のひとり言

閑長のひとり言

ドスト氏との相性

 人文科学の本を読むとドストエフスキーが実によく登場する。偉人、著名人の若き日の読書体験に多い。ミーハーな閑長は、ご多聞にもれず、短編、長編のほぼ全冊と、日記、書簡、創作ノートも読んだ。高価なちくま文庫や筑摩の全集、旺文社文庫版まで漁った。けれどもこれだけ読んで共感したのは三カ所だけだった。白痴の「死刑を免れたあとの生き方」と確かカラマーゾフの「山の頂上に只立っているだけの人生であっても、生きていた方が良い」とのセンテンスと「死の家の記録」のオルローフの反逆的な生き様と死だけである。たとえ一行であっても深い啓示を受ければよいのかもしれないが、共感は弱く、鮮度も低い啓示である。パフォーマンスは実に悪い。
 思うに、閑長はドストエフスキーと倫理観、世界感が違う。立脚点が異なる、問題意識を共有していない。彼が見つめ、小説に仕立てた点(神に関すること、人間に関すること等々)は、閑長にとっては「関係ないョ」か「当たり前じゃん」となる。深刻に考えることではないのである。要はドスト氏との接点が弱い。しかし、それに気付かせてくれた事には意味があるのかもしれない。
 あぁ書いてしまった。けれどもスッキリした。

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