2021-10-08 カズオと春樹の虚点 文学 小説には虚点がいる。虚点のない小説は眼の入らないダルマ・・。 そんなことを言ったのは私小説家の車谷長吉だった。カズオ・イシグロの虚点は俯瞰的に人間の宿命を晒け出している。さながら神の眼のようである。 村上春樹の虚点は、隣人と過去をして囁かせている。さながら背中の眼のようである。 虚点の大小ではく、必然性と偶然性に作家固有の差異を感じる。