miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

匂いの記憶

小学一年生の最初の一日、一時間目は音楽で、二時間目は国語だった。
音楽で最初に習った歌は、校歌だったと思う。
最初の国語の授業では、担任の女の先生が、教科書をなでてみなさい、と言い、
続いて、匂いを嗅いでみなさい、どんな匂がしますか? と質問した。
たしか、誰も答えなかった。
六歳の閑長は、工作の粘土と桜の花の香りが混ざった匂いに思えた。
恥ずかしくて発言はできなかった。
表紙には小さな型押しの点々があって、色は桃色だった。
国語の教科書の最初のページは
「ひよこ ひよこ」で、
次か、その次ページには、
「はなこがきた」「たろうといっしょにきたの」とあった。
新一年生の妹の花子が、兄を追って学校に来たのである。
たろうは兄妹が可愛がっている柴犬とわかった。
小一の初日のこれだけの記憶の中で、教科書の匂いは今でもはっきり思い出される。

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