miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

徒然草の法解釈

 放送大学で批評文学としての「徒然草」が講じられていた。採り上げられたのは93段の「牛を売る者あり」だった。
 牛を買おうとした人がいた、明日代金を払って引き取る、と約束した。その晩、牛が死んだ。牛を買おうとした人は難を逃れ、牛を売ろうとした人は損をした、・・と誰かが話した、という段である。
 これは民法では危険負担の問題である。閑長が法学生時代は、一般原則である“危険負担の債務者主義”が民法534条で真逆に変更され「特定物に関する物権の設定または移転」に関しては債権者主義が採られていた。当時、「碁、差しながら危険負担」と覚えたものだ。その534条の下では、93段の飼い主は代金を払わなければならず、損・得逆の結論となる。
 その後、民法534条が廃止され、日本の法レベルは徒然草に追いつくことになる。改正は2017年でついこの間のことである。目出度しというべきか、今頃というべきか・・。
 さて余談が過ぎて、放送大学の講義内容にたどり着かなかった。今晩、死んでしまわぬことを念じつつ、続きは明日としたい。

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