miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

高度化と抽象化 

 物理学者の橋本幸士博士は科学誌ニュートン」の常連執筆者である。ついこの間まで大阪大学の教授と思っていたら、先ほど、母校の京都大学の理学研究科の教授に就任した。専門は超ひも理論素粒子論。胸躍る分野である。
 博士はいう「もともと数学がやりたかったが、今や数学は論理学となり、物理が数学になっていた。数学をやろうと思ったら必然的に物理専攻になった。」続けて「化学は物理になっていた」とも語る。 
 諸学の進歩や芸道の発展を思う時、博士のこの言は象徴的である。
 高度化が多くの場合、抽象化と軌を一にするのはわかる。一般性を獲得し、俯瞰性が増す。しかし同時に、拡げたすそ野の開拓も進めないなら、理論と成果は空疎とならざるを得まい。なにより次の頂き、つまり新分野を攻略するに必要な基盤の獲得が出来まいと思う。要は周辺への飛躍と原点への回帰も必要と言いたいのだが、もっと具体的に表現するアイディアとレトリックが見つからない。勝手ながらしばらく宿題とさせて頂きます。

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