一行だけの文章、断絶したメッセージ
パルコ出版のアメリカン・ノスタルジア『エドワード・ホッパー』の解説はロイ・グットリッジが書いている。そこでロイは、「ホッパーは、人間を突き放して寂寞感を出している」とあって、感心した。
ホッパーの絵の、無機質、無造作に描かれた縦線と横線は、アメリカ便箋の罫線か、日本で言うと原稿用紙のマス目ようにみえる。プロットされた人物は、さながら認められた文章の一行である。一行であることが、胆かつ味噌で、要はまとまった意味を成していない。前後の文脈がなく、プロットも流れもないから、自問だけが繰り返される。ストーリーを紡ごうとすると、一行の沈黙で報いられる。