モーツァルトに訊いてみたら
「ミゼレーレ」は、イースターにシスティナ礼拝堂でのみ歌われる曲で、長く秘曲とされてきた。楽譜は門外不出で、聴きながらのメモも許されなかったという。14歳のモーツァルトはその「ミゼレーレ」を、いちど礼拝堂で耳にしただけでおぼえてしまい、帰ってから楽譜に書き起こしたという。そんなことが可能かどうか、現代の手練れ達が挑戦するというTV番組があって、閑長は初めてそのエピソードの存在を知った。
モーツアルトの天才は疑いないが、もし当人にインタビューしたなら、こう答えたと思う。「記憶力なんかじゃない。素晴らしい曲だった。だからメロディーが自然にこころに刻まれたんだ」
そうであってこそ、「ハフナー」や「フィガロの結婚」の作曲者に相応しいと思う。