2021-03-24 瞑目する色 白は光を発散するのに対し、黒は光を吸収する色という。ベルギーの作家 フレデリク・デ・ヴィルデは究極の黒で今までにないレベルの吸収率をもつ黒の制作に挑んでいる。目指すのは「究極的な色の不在」という。 以前にも書いたマレーヴィチは「シュプレマティスム」で対象を無化して絶対に至る道を示したが、それでも色と形態は残った。デ・ヴィルデは、光さえ逃げ出せないブラックホールのような色一色で、最終・最後の絵を目指そうとするものか。 先達として挙げ得るものは、水墨、破墨の描かない、彩色しない白の間だけかもしれない。 デ・ヴィルデ「量子泡」 デ・ヴィルデの黒だけの作は、ネットでも探し出せなかった。