miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

産まれた時の言語風景

 自分が産まれた年のコインや切手、時計には愛着がわく。産れ年の製造のレクターもいる。所さんは1955年のジッポをいくつも持っている、らしい。
 閑長は、自分の産まれ年の言葉に興味があって、誕生年の1960年初版の国語辞典を探求している。刊行年ならまだしも初版となると至難である。広辞苑の初版は1955年だから、所さんの生れ年で、閑長の産まれる5年前である。岩波国語辞典は1963年で少し遅い。探して出会った初版辞典は、残念ながら大判でしかも古語辞典だった。愛用したい気持ちは山々なのだが、書架の奥に収まっている。
 それでも時折、1960年近辺の辞書をパラパラ紐解くと陶然となる。この世に登場した時の言語風景を、掌の上で眺め渡す心持がする。言語の限界が世界の限界である、と喝破したウィトゲンシュタインの口吻を真似てみたくなる。

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