miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

額の眼差し

 この絵を見た時、神聖さを感じた。本の扉絵として小さく採り上げられていたのだが、結局、その本を買ってしまった。
 
 作家や画家など、文化人所有の名品は少なくない。川端康成旧蔵の「凍雲櫛雪図」「十便十宜図」は今や国宝である。川端は「美術品を観ている時だけ、この世とつながっている気がする」と、自裁の運命を暗示するような言まで残している。
 そこまで有名ではないが、この絵の作者はイタリアルネッサンスの画家ベッリーニである。もしかすると時代はそこまで上がらないかもしれないが、時代の気と製作の念をしっかりと送ってくる。

 劉生は画家が良い絵を描くには名画を所蔵するといい、と言って展覧会入選作と所蔵の宋元画の両方を紹介している。
 名画は哲学者の創造の源にもなるのかもしれない。所載本の著者で絵の所蔵者は谷川徹三である。
 
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 表題の「額」は、"ひたい" です。